新型「Kindle Paperwhite(第11世代)」をチェック。定番モデルが大画面化でより快適に

Amazonの電子書籍リーダー「Kindle」シリーズの定番モデル「Kindle Paperwhite」に、最新の第11世代が登場しました。大きな特徴は、画面が前モデルの6インチから、6.8インチに拡大したこと。これによって漫画であっても、細かい文字まで読みやすくなっています。

筆者は上位モデルの「Kindle Oasis」(第10世代)を愛用していますが、この画面サイズの大きさがPaperwhiteとOasisの大きな差でした。しかし新モデルのPaperwhiteは、Oasisとほとんど同じといっていいレベルの画面サイズ。値段差が1.5万円あることを考えると、Oasisは選ぶ理由がないのでは? と思うほどです。

というわけで早々に結論をお伝えすると、Kindleシリーズを購入するのであれば、Paperwhiteを買っておけば間違いありません。スペックやモデルごとの違いは後ほど触れていきますが、Paperwhiteは価格・スペックともに、シリーズで最もコスパが高く、十分な性能を備えていると感じます。

そもそも、電子書籍リーダーのメリットは?

本機の詳しい説明に入る前に、Kindleシリーズのメリットについて、改めておさらいしておきましょう。

まず、Kindleシリーズは本を読むための専用端末です。電子書籍を読むための手段は、スマートフォンやタブレット、パソコンなど多岐にわたりますが、Kindleシリーズならではのメリットも数多くあります。

特に大きなメリットは、目に優しいということ。ディスプレイには一般的に用いられるような、液晶や有機ELではなく、電子ペーパーというものを採用しているためです。詳しくは別記事にて解説していますが、電子ペーパーは反射型ディスプレイといって、自らが発光するのではなく、紙と同じように環境光があって見える方式です。

筆者はここ何年もKindle Oasisを愛用していますが、スマートフォンで読むのと比べて、光のチカチカが感じにくいというのが実感。ブルーライトも少ないため、夜でも気にせず読書できます。それに反射光を利用するため、直射日光でも画面が暗くならず、どこでも読めるのも隠れたメリットです。

スマートフォンと電子書籍リーダーを明るい場所で比較
スマホでは暗くなるような場面でも、電子ペーパーであれば問題ありません

また、専用端末ならではの特徴として「読書に集中できる」というのも注目したいポイントです。スマートフォンなどで読もうとすると、つい通知が気になったり、他のアプリを開いてしまいがち。Kindleシリーズであれば読書以外の機能がないため、気を紛らわせるようなことも起こりません。

Kindleシリーズ 各モデルの違いは?

そんなKindleシリーズですが、エントリーモデルの「Kindle」、スタンダードモデルの「Kindle Paperwhite」、最上位モデルの「Kindle Oasis」が用意されています。数年に1回のペースでモデルチェンジが行われますが、ネーミングは一定です。なお切り替えのタイミングだと、旧モデルもAmazonで売られていたりするので、購入時は注意したいところ。

この中で一番人気のモデルが、今回レビューするPaperwhiteです。これまでも「迷ったらPaperwhite」と言われてきた定番モデルですが、今回のバージョンアップでさらに強化されています。というよりも、最上位モデルOasisを食ってしまっているようなレベルで進化してしまった気がします。

kindle series
Kindleシリーズは3モデルがラインナップ(製品画像はAmazon.co.jpより)

Kindleシリーズのモデルごとの違いのポイントは、ディスプレイの大きさ・解像度、およびフロントライトの明るさ・色温度調節です。大きさについては、Kindleが6インチ、Paperwhiteが6.8インチ、Oasisが7インチと順に大きくなっています。

ここで注意したいのが、解像度がKindleのみ167ppi、PaperwhiteとOasisが300ppiということ。筆者は旧モデルのKindleを使っていたこともありましたが、167ppiは漫画では厳しいレベル。文庫本についても、フォントの線がなめらかではなく、ギザギザしてしまいます。

フォント表示の綺麗さというのは、本の読みやすさにも直結してきますので、なるべくならPaperwhiteかOasisを選びたいところ。逆に読めれば良いのであれば、Kindleは8,980円という手頃な価格なので、お試しで購入するには十分なスペックです(とはいえ漫画では厳しいと思います)。

次にフロントライトですが、電子ペーパーが光を当てないと暗くて読めなくなるので、照らすためのものです。フロントとはいっても、電子ペーパーの表面を照らすように内蔵されているので、見た目ではわかりません。

フロントライト用のLEDの数は、Kindleが4個、Paperwhiteが17個、Oasisが25個と、これも順に多くなっていきます。とはいえ暗いところで照らすのであれば、Kindleの4個でも十分。色温度調節機能はKindleのみ対応していないので、照明が電球色であれば、PaperwhiteとOasisのほうがおすすめです。

大画面化で“漫画が快適”に

前置きが長くなりましたが、本題のPaperwhiteを見ていきましょう。寸法は174×125×8.1mmと、片手でも簡単に持てる大きさ。重さも205gと、最新のスマートフォンでは「iPhone 13 Pro」(203g)と同じくらいなので、通勤電車において片手で持って使うとしても問題ないレベルです。

ディスプレイについては先述のように、旧モデルの6インチから大きくなり、6.8インチになりました。6インチだと漫画を読む場合、細かい文字は少し読みにくかったのですが、6.8インチもあれば無理なく読めます。旧モデルを愛用している方も、この点だけで買い換える価値はありそうです。

Kindle Paperwhite 手に持った様子

解像度は旧モデルと同じ300ppiですが、依然としてピクセルは目視できないレベルで、文字もくっきりと表示されます。表示画質についても手持ちのOasisと比べて違いがわからないレベルで、紙のように読みやすく表示してくれます。

これまでのPaperwhiteは6インチだったので、大きいディスプレイが欲しいなら7インチのOasisが選択肢でした。しかし新型Paperwhiteの6.8インチだと、ほとんど同じ大きさ。わずかにOasisが大きいですが、他の機能に大きな差があるわけでもないため、価格的にOasisを選ぶ理由が、ほとんど無くなってしまいました。

また、フロントライトも強化されています。旧モデルのLEDは5個でしたが、これが17個に増えて明るくなったので、昼間の室内でもフロントライトが活用できます。意外とフロントライトは明るい場所でも活用できるもので、照明の影になって読みにくいような場所で活躍してくれます。

ライトの色温度が調節できるようになったのもポイントです。これまでの白色に加えて、電球色の下で使っても違和感のない、暖色の発光にも対応しました。明るさと同様に、24段階の調整も可能。筆者お気に入りの機能で、日没に合わせての自動オンオフにも対応しています。

余談ですが、Paperwhiteには特別モデルとして「シグニチャー エディション」というものも用意されています。価格は5,000円ほど高い19,980円。通常モデルとの差分としては、ストレージが4倍の32GBになったことと、ワイヤレス充電に対応したこと、そして照度センサーを搭載していることです。

照度センサーを搭載することで、フロントライトの「明るさを自動調整」機能が利用できますが、Oasisにも搭載しているもののメリットは感じていません。ストレージ32GBと大きいので、漫画をたくさん読みたい方はこちらの方が良いと思いますが、自動調整目当てだと肩透かしをくらうかもしれません。

レスポンスについても旧モデル比で20%高速化したとのことですが、これは体感ではあまり良くわかりませんでした。Oasisとの比較では同等くらいのスピードで、スマートフォンと比べるとサクサク感はないですが、すぐページが切り替わってくれるのでストレスはありません。

Kindleシリーズ初のUSB Type-C採用モデル

またOasisユーザーとして羨ましいのが、充電端子がUSB Type-Cになったことです。Paperwhiteのバッテリー持ちは最大10週間とのことで、あまり頻繁に充電するものではないのですが、microUSBの対応端末も減ってきたので、Type-Cに統一していきたいところ。なお、10週間はWi-Fiオフ&1日30分使用の場合なので、実際はもう少し短くなります。

Kindle PaperwhiteのUSB端子

一方で、気になるところもあります。それは、本体素材の傷つきやすさ。プラスチックにラバー塗装がされているのですが、手触りが良いものの、すぐに傷がついてしまいます。これは旧モデルと同じ仕上げなのですが、何かしら改良してほしいところです。

傷がつくのが気になる方は、純正でケースも発売されているので、こちらも合わせて検討してみたほうが良いかもしれません。なお、最上位モデルのOasisはアルミニウム筐体なので、ケースなしで使ってもさほど傷が付きません。こういったところは値段の差でしょうか。

Kindle Paperwhiteの裏面

Kindleシリーズの新定番

このように、新しいKindle Paperwhiteは画面が大きくなったことで、さらに快適に読書が行える端末になりました。やはり電子ペーパーの表示は目に優しく、長時間読んでいても疲れにくいのは、しっかりと読書するうえで欠かせないポイントです。

Kindle Paperwhite

また冒頭でも触れましたが、スマートフォンとは違い、通知や他のアプリに気を取られず集中できるのは、専用端末ならではのメリットでしょう。少し前には「スマホ脳」といった本が流行りましたが、これによるとスマートフォンは脳科学的にも、やはり集中力を奪ってしまう仕組みのようです。

とはいえ、筆者もスマートフォンで読書しないかというと、そうではありません。やはり満員電車では小さいほうが良いため、通勤中はスマートフォンのKindleアプリを使っています。そして、自宅ではKindle端末で快適に読書をするのです。読んだページも同期できるため、端末を使い分けられるのも電子書籍のメリットかもしれません。

Kindleシリーズはどれを選んでもしっかりとした性能を備えていますが、なるべくならエントリーモデルのKindleではなく、Paperwhiteをおすすめします。上位モデルに迫るスペックに進化しながらも、価格据え置きでコストパフォーマンが向上した本機。ふだん電子書籍を読むのにまだ使っていないのであれば、この機会に試してみてはいかがでしょうか。