「Oculus Quest 2(Meta Quest 2)」がついに発売されました。初代Questと比較しながら、「どこが変わったのか」「何が良くなったか」をレビューしていきます。筆者は37,180円(税込)の64GBモデルを、予約購入で発売日の10月13日に入手できました。なお、より大容量の256GBモデルは49,280円(税込)です。
先に結論をお伝えしておくと、初めてのVRに最適なだけでなく、初代Questユーザーにも買い換える価値のある製品だと思います。正直なところ、Questで感じていた不満が改善されていて、ほぼすべてが良くなっています。
では、どのような点が魅力で、どのような点が進化したのか。これから詳しく見ていきましょう。
VRヘッドセットとは
これからVRを始めたい方のために、まずVRヘッドセットについて解説していきます(知っているよ、という方は次の見出しまで飛ばして頂ければと思います)。
Oculus Questの魅力とは?
VRというとヘッドセットを頭に装着するイメージがあると思います。手頃な価格だと、スマホを装着して映像を楽しむタイプが一般的です。一方で、テレビなどで芸能人がVRヘッドセットを装着して、仮想空間を動きまわって対戦したり、体験する様子を見たことはないでしょうか。
Oculus Quest 2は、そんな「体験するVR」を楽しめるデバイスなのです。映像を見るだけではなく、仮想空間を動きまわって物を掴んだり、敵を倒したり、飛び回ったりといったことができます。
VRヘッドセットのスペックの1つに、「6DoF」「3DoF」というものがあります。DoFとは、Degrees of Freedom=自由度という意味。もし0DoFの場合は、メガネに紙を貼り付けたように、ヘッドセットの映像が首と一緒に移動してしまうため、VR空間をリアルに体験できません。
これが3DoFであれば、頭の前後/左右/回転の3軸に対応します。つまり周囲を見回したり、上下を見たりする動作をセンサーをトラッキングし、VR空間を実際に見回したりできるわけです。スマホ装着のVRは、一般的にこの形式を採用しています。
さらに6DoFでは、体の前後/左右/上下の動きが加わります。周囲を見るだけでなく、しゃがんだり、移動したりといったことも認識できるので、「実際にVR空間にいるような体験」ができるのです。
手頃な価格で“VR体験”を
6DoFでVRを楽しむには、これまでは10万円以上もする高性能なゲーミングPCに、5-10万円以上するVRヘッドセットを合わせるというトータルで20万円くらいのシステムが最低限必要でした。より一般的なものだとPlayStation VRがありますが、これでもPSVR+PS4で7万円以上必要です。
これらのシステムでは「ヘッドセットとPC/PS4がケーブルで繋がっている」という問題があります。動き回る際にケーブルがあると邪魔に感じると思いますし、回転する場合はケーブルを意識しないと絡まってしまいます。
またVRヘッドセットには、ヘッドセット内蔵カメラでトラッキングする「インサイドアウト方式」と、外部にセンサーを設置する「アウトサイドイン方式」があります。前者はRift SやWindows MRといった機種が採用しており、後者はValve IndexやHTC Vive Cosmos Eliteといったハイエンドモデルが採用しています。
インサイドアウト方式のほうが手軽ですが、一方でカメラの見えない範囲や場面、つまり体の後ろや暗闇は認識できません。弓などの動作は苦手です。逆にアウトサイドインは、これら認識範囲の死角や、赤外線で認識するので明るさは関係ないです。とはいえ外部センサーは基本的に2台、それぞれ電源をつなぐ必要があるので、ハードルも高く、コストもかかります。
こういったことを気にせず、ヘッドセットをかぶるだけでVRを楽しめるのが、「スタンドアローン型」もしくは「オールインワン型」という、ヘッドセットに全ての部品を集約したものです。そのスタンドアローン型として、大ヒットになったのが2019年5月に発売された先代モデル「Quest」でした。
初代Questでは、このケーブルレスで6DoFを楽しめることはもちろん、49,800円(税込)という安さにおいて、大ヒットモデルとなりました。在庫は常に品切れで、入荷すると即完売。ヤフオクやメルカリではプレミア価格で取引されていたほどです(余談ですが、Quest 2の登場で解消・暴落した模様です)。
そして待望のQuest 2では、小型化やスペック向上を実施。スペックが高くなったにも関わらず、価格は37,180円(税込)と、約1.2万円も安くなっています。
本体の外観について
まずは外観から見ていきましょう。本体色は、前モデルのブラックからライトグレーに変更されています。写真では露出によって白っぽくも濃いグレーにも見えるのですが、目安としては無印良品で多用されているグレーに近いと思います。インテリアを邪魔せず馴染むような色合いなので、個人的にはこの色の変更は好印象です。
本体がコンパクトに!質量も軽く
本体のサイズも小さくなっています。メーカーの数値的にはQuestが193W×105H×222Dmm、Quest 2が191.5W×102H×295.5Dmmでほとんど同じなのですが、これはヘッドバンドも含めた値。本体部分のサイズは一回り小さくなっているので、かなりのコンパクト感があります。
ヘッドセットを固定するストラップの部分も変更されました。Questでは、プラスチックのようなゴムのような硬い素材でしたが、Quest 2ではゴム紐のような素材が採用されています。メーカー的には持ち運びに便利とのことですが、見た目的には安っぽくなった印象です。装着感についてはのちほど後述します。
重さについては約10%の軽量化が行われ、Questの571gから503gになりました。バッテリーやCPUなどを1台に収めているため仕方ない部分ではあるのですが、正直まだ重いと思います。とはいえ1時間程度連続で遊ぶぶんには特に困りませんでした。サングラス型に向けた研究も進んでいるようなので、このあたりは次期モデルに期待したいと思います。
コストダウンの影響か、質感が下がった部分もあります。Questでは本体の外周が布地でしたが、素のプラスチックになっています。Quest 2のプラスチックは全体的にマット仕上げで安っぽくはないのですが、初代にあった高級感はなくなってしまったようです。
顔に当たるフェイスパッドの部分も、表面が布地だった初代から、ただのスポンジになっています。一方で、フェイスパッドやストラップは中性洗剤での手洗いが可能です。前モデルのフェイスパッドは洗うと表面の布が剥がれたり、ストラップは取り外し不可で洗えずエタノールも使えなかったので、ここは嬉しいポイントです。なお、相変わらず欧米向けの設定のため、鼻が低い日本人では外光がやや漏れてきてしまいます。
USB Type-C採用/IPD調整も搭載
正面を見てみると、上下左右に4つのカメラを搭載しています。このカメラの映像を処理することで、部屋の広さやどこにいるかといった情報などを認識し、6DoFを実現しています。基本的に6DoFのモデルは、数や位置は異なりますが、ほぼ全てにカメラを備えています。
そして側面にはUSB Type-C端子、充電状況を色で教えてくれるLED、3.5mmのイヤホンジャックを搭載します。下部には、ボリュームボタン。またわかりにくいのですが、ヘッドストラップの付け根には、スピーカー用のスリットも設けられています。このスピーカーも優秀で、音の位置や方向も再現するサラウンド対応です。初代から音量や低音量も改善されました。
初代Questからの変更点としては、Type-C端子が正面移動&横向きになりました。イヤホンジャックは左右それぞれに2つ搭載していたものが、正面からみて右側だけになりました。
個人的には、ヘッドホンの端子が1つになってしまったのは残念でした。Questでは自作でケーブルを作成して、左右それぞれの端子から片耳ずつ接続していたのですが、これができなくなってしまいます。ケーブルが邪魔にならずよかったのですが、人気がなかったのか、コストの影響なのか…。
下部にあったIPD(瞳孔間距離)のスライド調整も小型化の影響によりなくなっています。IPDとは、左右の目の瞳孔の距離のこと。VRヘッドセットでは左右に違う映像を流すのですが、IPDが違うと普段の見え方と異なってしまいます。そのため、この数値をあわせないと自然な見え方にならなかったり、眼の調整機能を活用するために疲れるなどの問題が起きてしまいます。
もちろん、Quest 2にもIPD調整は搭載されています。手で接眼レンズの周囲をもち、ガチャンと移動させるかたちで、58/63/68mmの3段階に設定できます(Questでは、下部のスライダーから無段階に調節できました)。3段階なので、いくつか使って違和感のない設定を選べばよいかと思います。
ちなみに、筆者は眼科でIPDを測ってもらったことがありますが、61mmでした。Quest 2には同じ設定がないのですが、個人的には63mmでも問題なく使用できました。基本的には問題ないと思いますが、個人差があると思うので、もし心配でしたら試してから購入したほうが良いと思います。
コントローラーについて
VRを楽しむには、コントローラーも重要です。コントローラーを使うことで、VR空間上で「つかむ」「なげる」といった動作が行えるので、よりVR空間を体感している感覚になれます。ハプティクスによる、リアルな振動も体感できます。トリガーもついているので、銃などは実際に撃っている気分にもなります。つまり、コントローラーはVR空間での手となり道具となるわけです。
さらに持ちやすく進化!
そのコントローラーも、新しい「Touch Controller」に刷新されました。見た目はブラックから本体に合わせたライトグレーになったほか、形状ではグリップの部分が太く、より持ちやすくなりました。ボタンの位置や形状も若干変更されています。よりエルゴノミクス感のあるデザインになったので、長時間遊ぶ場合にも疲れにくいと思います。
また、ジョイスティックやボタンがある部分がまるく大きくなりました。Oculusのコントローラーでは、ボタンを押しているかだけでなく、触れていることも認識できます(親指をたててサムズアップなどができる)。これまではボタンの上を常に触れている必要が度々あったのですが、親指を置くことの出来る場所が用意されたのは、個人的には嬉しいポイントです。
筆者はほとんどのVR時間をBeatSaberで遊んでいるのですが、腕を強く振り回すようなゲームだと前のほうが良かったかなと思う部分はあります。それは重さ。ほんの少しの違いですが、長期間使った場合に腕にどのくらい負担が来てしまうのかは不安です。
バッテリーライフも向上
電池については、前モデルと同じく単3電池1本で、もちろんエネループも使えます。調べたところバッテリー寿命も改善されているようで、前モデルの4倍持つようになったとのこと。Questでは毎日30分-1時間遊んで1週間使えていたので、ほぼ1ヶ月使える計算でしょうか。電池切れを気にせず使えるのは嬉しいポイントです。
コントローラーも本体と同じくコストダウンされていて、グリップに貼られていたラバーがなくなり、素のプラスチックになりました。電池ボックスの蓋についても、Questはマグネットで近づけると自動的にはまる、高級感ある使用でしたが、Quest 2でははめ込むだけになっています。電池持ち向上の影響か、バッテリーの蓋が固くなっているので、プレイ中に蓋がずれる心配はなさそうです。
ちなみに、本体のグリップは大型化しましたが、リング部やグリップの長さは据え置きなので、ほとんど大きさは同じです。余談ですが、このリング部には赤外線LEDが内蔵されていて、常に発光し、それをカメラで読み取っています。目では光っていることが見えないのですが、しっかりと意味のある形状なのです。
画質について
これまで外観を見てきましたが、Quest 2の一番大きなハイライトはスペックの向上です。画質面と、CPU/GPU性能などの両面で良くなっています。
画面が高解像度に!文字もクッキリ表示
まず画質ですが、ピクセル数が50%増えて解像度が大幅に向上しました。片目あたりの解像度はQuestが1,600×1,440でしたが、Quest 2は1,832×1,920ピクセルに。単純な映像の粗さや、ピクセルの間の隙間が格子状などに見えて気になってしまう「スクリーンドア効果」という問題が改善されているので、より映像に没入できるようになっています。
正直なところ、Questを使っていたときは「粗いなー」と思ってました。しかしQuest 2では、ドット感があまりないだけでなく、プレイに集中するとほとんどドットの存在を忘れてしまうレベルです。Questではリモートデスクトップは粗くて厳しかったのですが、Quest 2では、ブラウザの文字もそこそこくっきりに見えます。
余談ですが、内蔵ディスプレイのピクセルにはいくつか並べ方のパターンがあります。QuestはRGBペンタイル方式というものを採用していました。RGBの3原色のうち、RとBのサブピクセルを共有させる(間引く)ことで効率的に製造できる方法です。RとBのサブピクセルが半分になるので、数値上のスペックよりもサブピクセルが減り、より粗さを感じる方式でした。
Quest 2では、一般的なRGBストライプ方式を採用しています。これは単純にRGBのサブピクセルを格子状に並べるという方式で、1つのドットにRGBが揃っています。そのため、カタログスペックとしては1,600×1,440→1,832×1,920の進化ですが、見え方としてはそれ以上の進化を感じました(初代モデルが特に粗かったといえますが…)。また斜めに線が見えるような初代の見え方と比べて、Quest 2のほうが格子が縦横なので、目立ちにくいというのも良いポイントです。
ハイエンドモデル超えの高解像度
1,832×1,920ピクセルという数字は、現行全てのVRヘッドセットの中でもかなり細かい水準です。「HP Reverb G2」「Pimax 8K」といったより細かいモデルも存在しますが、ユーザーの多い「Oculus Rift S」、HTC「Vive Cosmos」、Valve「Index」といったモデルよりも高解像度。スタンドアローン型でありながら、PC接続型のハイエンドモデルを超える水準となっています。
解像度が細かくなった一方、搭載されているパネルが有機ELから液晶に変更されました。有機ELは高いコントラストと、鮮やかな発色、そして“黒が黒く映る”という黒の締りが特徴。そのため、液晶のQuest 2を有機ELのQuestと比較すると、暗い場面ではすこし映像が白っぽくあせて見えるなという印象です。
とはいえ、解像度が上がったこともあり、個人的にはQuest 2のほうが良いと思います。コントラストや発色はしばらく使うと気にならなくなりますし、そもそもQuest 2の液晶もかなりきれいです。むしろ彩度がひかえめな分、QuestよりもQuest 2のほうが自然な発色で良いという方も多い気がします。
1秒間に切り替わる画像の多さを決めるリフレッシュレートは、QuestもQuest 2も72Hz(1秒間に72枚)です。Quest 2はさらに上の90Hzにも対応していて、対応ゲームでは90Hzで遊べるようです。ベータ機能として90Hzの設定を有効にすることで、すでにホーム画面やブラウザなどは90Hzを試すことが可能です(個人的には正直違いがわからず…正直72Hzでも十分かなとは思います)。
スペックについて
処理性能の部分については、CPUやGPUを内蔵したSoCが、スマートフォン用の「Snapdragon 835」から、VRに特化した「Snapdragon XR2 プラットフォーム」に変更されました。
XR2は、2020年時点のハイエンドスマートフォンに搭載されている「Snapdragon 865」をVR用にカスタムしたモデルだそうです。そしてメモリ(RAM)は、4GBから6GBに増加しています。
スペック向上でサクサク動作
Questでは、スペック不足を感じる場面が多々ありました。ロードの時間や、ゲーム画面からホーム画面に戻る際のもたつきなどです。こういったストレスがQuest 2ではほとんど解消されています。サクサク動作します。
さらにスペック向上のおかげか、画面周囲の表示解像度(レンダリング解像度)も改善されたようです。Questでは、処理の負担を低減させるため、画面の端の方がモザイクのように荒くなっていました。視野周辺部なのでプレイ中は意図的に見ようとしないと気づかない程度なのですが、Quest 2では画面全域が細かく表示されるようになったようです。
個人的に改善してほしかったバッテリーについては、初代から変わらずでした。ゲームは約2時間、動画視聴は約3時間で、実使用でも同じくらいです。1度のプレイでゼロになることはないのですが、頻繁に充電するのは面倒なので、もう少し伸びてほしいなとは思っております。これも次回に期待です。
ちなみに、初代Questはアップデートによる機能向上も魅力の1つでした。Quest 2でもアップデートしていくらしいですし、Questでもアップデートは継続されるようです。初代ユーザーとしても、これでサポート終了とかでなくて安心。ゲームもQuest 2とQuestの両方で動くように開発していくらしいので、これまで遊んでいたコンテンツを共有できるのは嬉しい限りです。
装着感について
装着感については、Questとは全く別の感覚です。伝えにくいのですが、Questではヘッドストラップが硬いので、いったん形状を決めたあとは、そのまま頭と顔にはめるような感覚でした。ストラップの根本がバネで伸び縮みするようになっていて、その力で固定するような仕組みでした。
長時間使っても大丈夫?
Quest 2では、見た目の通りゴムの伸縮で固定することになります。ストラップが柔らかいので、Questと同じ感覚で装着しようとすると手こずってしまいましたが、何度か使うと慣れました。固定力も問題なく、むしろゴムの力を調整できるので、好みに応じてより幅広いセッティングが可能になったのかなと思います。
装着中の圧力についても問題なく、1時間程度遊んでも、特に負担には感じませんでした。もしデフォルトのストラップが合わない場合は、ダイヤルで締め付けるタイプの「Eliteストラップ」が別売で用意されているので、特にガッチリと固定したい方は試してみても良いかと思います。
顔に当たる圧力としては、筆者の顔が小さめなのもあるのですが、Quest 2では本体が小型化されていることもあり、目の周囲全体で固定する感覚でした。初代Questではややフェイスパッドが大柄だったため、目の左右にはパッドが当たらず、額と目の下の2点で固定する感覚でしたので、つけ心地としては若干窮屈かなと思いました。
メガネユーザーはやや注意
また、メガネユーザーは注意が必要です。Questでは特に問題がなかったのですが、Quest 2ではパッドの左右幅が短くなったため、眼鏡によっては干渉してしまいます。筆者の使う眼鏡(幅約14cm)では、取り外し時に眼鏡だけハマった状態になるほどです。装着してしまえば問題なく快適なのですが、これ以上大きいと厳しいかもしれません。
メガネユーザー用の眼鏡スペーサーは引き続き付属しますので、横幅さえ問題なければ眼鏡でも楽しめると思います(眼鏡スペーサー:パッドと接眼レンズの距離を数mmほど離すことで、レンズがあたって傷になることを防止するものです)。
実際にゲームをプレイしてみた
ここからは、実際にゲームで遊んでみた感想をお伝えしていきます。Questで人気だったタイトルや、Quest 2に合わせてリリースされたタイトルをいくつか試してみました。
なお、別記事にてOculus Quest 2のオススメタイトルもご紹介していますので、合わせて参考にしてみて下さい。
まずプレイエリアを設定
ゲームを遊ぶ前には、プレイエリアの設定が必要です。Quest 2には、静止モードと歩行モードの2種類が用意されているのですが、静止モードでは直径約2mの円、歩行モードでは約2m×2mの面積が必要で、この中であれば自由に動き回れます。目安として、だいたい3畳ぶんくらいのスペースがあれば文句なしです。
この設定したエリア(ガーディアン)の良いところは、そこから出るとカメラが現実の映像に切り替わることです。壁に頭をぶつけることもないです。またコントローラーがエリアの端に触れると、その部分に仮想の壁が表示されるので、エリアの外にあるものにぶつけて壊す心配もほとんど無いです。
1つだけ注意点が
魅力的な本機ですが、1つだけ注意点があります。それは、「Facebookのアカウントが必須」であること。iOS/AndroidのスマートフォンやタブレットにインストールしたOculusアプリでログインを行い、アプリ上でセットアップを行う必要があるからです(Quest上に表示されたコードをアプリに入力するかたちです)。
主にTwitterなどで話題になりましたが、Quest 2のためにアカウントを作成したところ、凍結された方もいるようです。正しい情報を入力しても凍結になる場合があるようですが、偽名や偽の生年月日での登録はアウト。Facebookは本名での登録が規定されているので、新規に作成する場合は注意が必要です。
BeatSaberで進化を実感
では、まずは筆者が一番好きなVRリズムゲーム「BeatSaber」を遊んでみます。超大ヒットタイトルで、音楽に合わせて流れてくるブロックを切りつけていくというシンプルな内容です。初心者にはまず遊んでほしいゲームの1つです。
Quest 2では性能が上がったことで、起動や曲のロードもスムーズになった気がします。前モデルでは標準搭載の画面録画をしながらのプレイはやや重く感じたのですが、そういったことも皆無。スペックアップのおかげで、ストレスを感じる部分もなくなりました。
画質については、やはり解像度の向上は大きいです。曲選択の文字などがくっきりなので読みやすく、ブロックも滑らかに表示されています。人間の目は熱中していくと細部を凝視しなくなることもあってか、しばらくプレイすると、ピクセルの存在を忘れてしまいました。
一方で、発色やコントラストについては、Questのほうが良いかなと思ったりもします。特にBeatSaberは、暗いステージにネオンのように鮮やかな赤と青のブロックが流れてくるというグラフィック。有機ELのほうが黒が締まるし、鮮やかな色の発色も有利です。でもそれ以上に解像度の効果は絶大。いくら色が良くても、ドット感が気になるようだと旧式感が強いです。
また先述したように、Quest 2では、画面の端であっても中央と同じ表示解像度なのが嬉しいです。BeatSaberでは手にライトサーベルを持つのですが、Questでは手元に行くに従ってモザイク状に表示されていました。これが改善されたのは、個人的には大きなポイントです。
VRでは実際にしゃがんだり立ったりできるので、BeatSaberをはじめとした体を動かすゲームがオススメです。ほかには、「Audio Trip」「Pistol Whip」「Fit XR」といった人気タイトルもありますので、初心者の方はぜひ探してみて下さい。リアルな卓球を体験できる「Eleven:Table Tennis」なんていうものもあります。
余談ですが、BeatSaberは30分で250kcalほどのエネルギーを消費できます。Audio TripもFit XRも同じくらいです。これはスポーツにするとテニス相当で、実際に遊ぶとわかりますが、汗だくになります。新型コロナウイルスで外出もしにくい昨今ですので、トレーニング用に購入するのも良いかもしれません。
現状はこういった消費を可視化できる仕組みは公式には無いのですが(非公式でYUR.fitというサービスがあります)、2020年後半には1部ユーザーを対象に公式で「Oculus Move」という機能をリリースするらしいです。これにより、何カロリーを燃焼したのか、何時間体を動かしたかを記録できるらしいので期待ですね。
SUPER HOTもすごい。Rez Infiniteもオススメ
その他の人気タイトルでは、「SUPER HOT」もプレイしてみました。これも大ヒットゲームで、自分が動くことで時間が進む世界で、敵を倒していくというものです。体を動かすことで敵が動くので、どう攻撃を与えるか、どうかわすかといったパズル的要素があります。
このゲームでは、敵がポリゴン状で背景がシンプルなので、高解像度化の恩恵は大きく感じました。PCモニターでもそうなのですが、複雑な写真よりも、シンプルな文字のほうが解像度の効果が如実にあらわれます。一度Quest 2を使ってしまうと、Questを付け直したときにピクセルのドットが気になってしまいます。
Quest 2の発売に合わせてリリースされた「Rez Infinite」もプレイしてみました。感想としては、もう凄いです。細い線や幾何学的な模様が多いので、これはQuestではなくQuest 2でこそ進化を発揮するタイトルだと思います。
もともとPSVRにもあったタイトルらしいのですが、人気があるのもうなずけます。ほかにも合わせてリリースされたタイトルはたくさんあるので、こちらも少しずつ遊んでいこうかなと思います。日本製ゲームも増えていくようです。
PCVRとしても使える
Quest 2は単体で遊べるVRヘッドセットですが、高性能なPCを持っている方は、PCに接続して使える「Oculus Link」という機能が用意されています。本体のプロセッサーではなく、高性能なPCの力を使うことで、より高品質なグラフィックスを楽しめるのです。
Oculus Linkに必要なアイテムは別記事で紹介していますが、利用にはUSBケーブルを用意するだけ。まず試すだけであれば、約1,200円で購入できる、Ankerの「PowerLine USB-C & USB-A 3.0 ケーブル」がオススメです。
また、解像度が細かいので映像をみる用としてもよいと思います。Questのストアでは、無料で「YouTube」「Netflix」「Prime Video VR」といったアプリが用意されていて、巨大なシアタースクリーンの前で楽しめます。
Oculus Linkを使えば、映像だけでなくGoogle Earthも楽しめます。富士山からの景色を見たり、東京の上空を飛行したりなど、ぜひ遊んでほしいコンテンツの1つです。
これは買うべきガジェット。VRに興味あるなら必見
このように、様々な使い方ができるのもQuest 2のメリットだと思います。 個人的な感想としては、初代Questから買い替えて良かったと感じました。
価格も安くなったので、これまでVRに躊躇していた方も踏み出しやすいかなと思いますし、家電量販店で気軽に変えるのも魅力です。VRの魅力は言葉では伝えられない部分が大きいので、もし少しでも興味があったら、ぜひ試してみて下さい。1度体験したら世界が変わると思います。