Godoxの無線トリガー「X1T/X2T」違いを解説。選ぶならどっち?

X2TとX1Tを並べた様子

Godox(ゴドックス)のスロトボは、同社の「Xシステム」による無線通信が特徴です。シャッターとストロボ発光をワイヤレスで同調できるだけでなく、手元から、複数台のストロボ制御も行えてしまいます。

そのXシステムを利用する際の必需品として、カメラに装着しなければならないのがワイヤレストリガーです。Godoxでは、下から順に「X1T」「X2T」「Xpro」の3モデルを展開しています。価格は目安ですが、X1Tが5,700円、X2Tが7,300円、Xproが8,500円くらいです。

なお、いずれのモデルもキヤノン、ニコン、ソニー、富士フイルム、オリンパスといった対応モデルが用意されています。トリガーの対応メーカーがカメラと同じであれば、ストロボ側の対応モデルに限らず、TTL制御による発光量の自動調整が行えるのも、Xシステムのメリットです。

選ぶなら「X2T」

さて、筆者はこれまで、一番安価な「X1T」を1年以上愛用してきました。X1Tは、操作系もシンプルなモデルですが、ストロボを発光させるだけなら必要十分。画面もついているので、手元からストロボの明るさも調整できます。

しかし、今回「X2T」を購入したことで考えが変わりました。これまではX1Tで十分だと思っていたのですが、よほど予算が限られた場合でなければ、X2Tを購入するべきだと思います。

X2TとX1Tを並べた様子

その理由はコントロールのしやすさ。たとえば、X2Tでは、本体上部から調整したいアルファベットのボタンを押してグループを選択したあと、ダイヤルで明るさを調整し、正面のSETボタンもしくは上部のアルファベットのボタンを再度押すだけです。

逆に、X1Tはボタンが少ないので、やや分かりづらいです。まずはダイヤルで調整したいグループを選択し、GRボタンを押したあと、ダイヤルで明るさを調整し、もう一度GRボタンで確定します。

X2Tの操作ボタン

文字に書いてしまうとあまり差がないように感じるのですが、X2Tは直感的なので間違うことが少ない一方、X1Tはとっさの操作で間違えることが多く、ストレスになっていました。特に、X1TではCHボタンを誤って押してしまうことが多かったです。

繰り返しになりますが、X2Tはある程度直感的に操作できるように考えられているようで、何も考えずにストロボの制御ができます。X1Tは1年以上使っても、操作する前に頭で一瞬考える時間が必要でした。撮影現場では急いで明るさを変えたいことも多いため、この差は大きいです。これだけでも購入した価値がありました。

モデリングランプ設定が嬉しい

機能面については、X2TがX1Tの上位機種ということもあり、X2Tのほうが優れています。個人的に嬉しかったのは、モデリングランプのオンオフ機能。これは、さらに上位機種となるXproにも搭載されている機能なのですが、X1Tでは対応していませんでした。

モデリングランプのオンオフは、MENUボタンを長押しするだけ。オンオフを切り替える機会は少ないとはいえ、明るさなどは手元で制御できるのに、モデリングだけ、わざわざストロボ本体を操作するのは不便です。地味なポイントですが、手元だけですべて完結できるのは快適です。

X2Tの正面

なお、モデリングランプを搭載するGodoxのストロボは、クリップオンタイプではV1のみ。逆にADシリーズでは、AD100Pro、AD200Pro、AD300Proをはじめとした、ほぼすべての機種がモデリングランプを備えています。

ほか基礎スペックとして、無線のチャンネル数については、X1Tは32チャンネル、X2Tは32チャンネルに加えて99までのIDに対応しています。つまり、X2Tのほうが他人と設定が干渉する可能性が低いのですが、正直32チャンネルもあれば簡単に干渉しないので、このあたりは気にしなくてもいいのかなと思います。

なお、X2TにはBluetooth機能を搭載してスマホアプリでストロボ撮影が楽しめる機能があるのですが、対応機種が極端に少ない(iPhone/ファーウェイ/サムスンのみ)こともあり、手持ちの端末では動作できませんでした。電池消費にも影響するので、筆者はオフ設定にしています。

ロック機構がクイックタイプに

X2Tのホットシュー

外観の話に戻りますが、カメラに固定する際のロック機構が、X2Tではクイックタイプになったこともポイントです。ホットシューに本機をセットしたあと、ロックボタンを押しながら90度回転させるだけで固定が完了。従来のネジ式と比べると、かなり楽です。

この機構による影響かは不明ですが、取り付け部分が長くなったため、カメラ上面ダイヤルとの干渉も減りました。筆者はα7Cを愛用しているのですが、X1Tでは、モードダイヤルを回すのも厳しかったほどです。X2Tではこの干渉が解消されました。

カメラに装着したX2TとX1T

また画面については、X1Tの7セグメント表示から、X2Tではピクセルタイプの細かいディスプレイに変わりました。通常利用での使い勝手はさほど変わらないのですが、設定などは細かいほうが圧倒的に見やすいです。

画面のバックライトの明るさについても、並べてみるとかなりの輝度差があります。X1Tの明るさでも、暗いところではよく見えるので困ったことはないのですが、X2Tでは画面の細かさと相まって、最新モデルらしい印象に感じます。

X1Tのディスプレイ
X1T
X2Tのディスプレイ
X2T

かなり個人的な感想になってしまいましたが、X2TをX1Tのどちらかと言われたら、筆者はX2Tを選びます。X1TからX2Tに買い替えましたが、すでにX1Tには戻りたくありません。

上述しましたが、X2Tを選ぶ理由は、操作性の良さです。X1Tで感じていたストレスや誤操作がなくなり、スムーズな撮影が行えるようになりました。

また、ディスプレイの細かさやロック機構など、細かい点もX2Tでは改良されています。これだけ良くなっていれば、安さ以外の理由でX1Tを選ぶ理由はないでしょう。