超コスパのモノブロックストロボ、Godox「MS300」がオススメ

カメラできれいな物撮りをするには、ストロボでライティングをする必要があります。しかし、ストロボライティングをするには機材を揃える必要があり、素人には手が出しにくい世界です。

ストロボというとカメラに装着するイメージが強いと思いますが、物撮りの場合、カメラから離れた場所に設置する、オフカメラライティングというものが一般的です。写真館やスタジオなど、アンブレラを使った風景を見たことがある方もいるかもしれません。

こういった場面でよく使われるのが、モノブロックストロボと呼ばれる製品です。基本的に電力はコンセントから供給されるなど、ハイパワーな仕様ですが、プロ向けの製品ということもあり、かなり値段が張ります。1灯あたり10万円以上する製品がほとんどで、趣味で楽しんでいるユーザーには手が届きにくいレベルです。

そんなモノブロックストロボに、価格破壊ともいえるモデルが登場しました。それが、Godox(ゴドックス)というブランドの「MS300」。Godoxは中国のメーカーですが、圧倒的な開発力と価格競争力を武器に、日本でもユーザーが急増しています。有名メーカーのOEMを手掛けるなど、品質についても安かろう悪かろうではなく、最近ではプロも使用しているほどのブランドです。

そんなMS300の価格は、Amazonで13,500円(税込)ほど。日本や欧米の同スペックのモデルは10万円前後と考えると、心配になってくるほどの価格です。今回はブログの写真撮影用に購入しましたが、全く問題なく使えますし、これといった不安点もありません。機材の信頼性が重要なプロを除けば、趣味程度なら高いモデルは必要ないのでは?と感じるレベルで普通に使えます。

Godoxの製品は、日本ではKPI(ケンコープロフェショナルイメージング)が正規代理店を努めています。しかしMS300は同社が取り扱っておらず、手元に届くまでは不安がありました。しかし、実際に届いた個体では、PSEマークや技適も通っていて、きちんとしたルートで仕入れられているようです。これなら日本でも安心して利用できます。

さて、MS300のスペックをかんたんに確認しましょう。まず明るさは300Wsで、これは一般的なクリップオンストロボの5倍以上の明るさです。アンブレラなどを利用する場合、光が広く拡散されてしまうので、明るいほうが有利です。

モノブロックストロボのメリットは、先述のようにハイパワーであることです。クリップオンストロボでオフカメラライティングを行っている方も多くいるのですが、実際に使っていくと、パワー不足に不満をもつ場合も少なくありません。

また、クリップオンストロボでフルパワーを出そうとすると、今度はチャージに数秒間の時間がかかってしまいます。物撮りではゆっくりと撮影すればよいのですが、ポートレート場合は撮影のテンポが悪くなるので撮りづらくなってしまいます。

MS300のチャージ時間はフルパワーで実測2.5秒と、モノブロックでは遅い方ですが、明るさを1段回下げるだけで、その半分くらいに短縮されます。つまり元々のパワーが高いと、それだけ余裕があるわけです。なお、クリップオンストロボは単3電池が一般的ですが、Godox「V1」のように、リチウムイオン電池でチャージ時間を短縮させたモデルも存在します(この場合でも、フルパワーの明るさになるとモノブロックのほうが高速ですが)。

スタジオ用のストロボには、モノブロックのほかに、ジェネレータータイプのストロボもあります。これは、ジェネレーターと呼ばれる本体に、発光部をケーブルで繋げて使うものです。ストロボでは最も大光量で発光できるタイプなのですが、価格も高く、また接続なども面倒です。その点、モノブロックはコンセントに挿すだけで使えるという、手軽さも魅力の一つです。

また、クリップオンストロボだと発光部が四角いため、アンブレラなどを使用する際、光がきれいに拡散されないという問題があります。モノブロックだと丸く発光してくれるので、かんたんにきれいな光を作れます。

安いだけでなく、機能がしっかりしているところもMS300の魅力です。背面にはディスプレイが付いているので現在のパラメーターを確認しやすいですし、同社の無線機能「Xシステム」にも対応しています。

Xシステムでは、カメラに別売のトリガー「X Pro」「X1T」「X2T」を使用することで、ワイヤレスの発光や、遠隔での明るさ制御が行なえます。日本メーカーの10万円程度のモデルでは無線制御を内蔵していないことを考えると、安いにもかかわらず、むしろそれ以上の機能性です。

使っていて地味にありがたいと思ったのが、モデリングランプの存在です。通常のクリップオンストロボには搭載しておらず、一部の高級モデルにもありますが、明るさは暗めです。やはりコンセント接続のモノブロックならではの機能といえます。

アンブレラなどを用いて撮影をしようとすると、室内光を付けた場合でも光を遮ってしまうので、暗くなります。そうすると、物撮りではピントが合わせられないこともしばしば。モデリングランプがあれば被写体を明るく照らしてくれるので、ピントも合わせやすくなります。

またストロボ撮影では、瞬間光なので事前に撮影イメージを把握できないという難しさがあります。そんなときにモデリングランプがあれば、だいたいの撮影イメージを目視しながら確認できるので、非常に便利です。

今回、安さにつられてMS300を購入したのですが、非常に満足いくものでした。とにかく、普通に使えます。外観はプラスチック多めでコストダウンが伺えるのですが、肝心の基本スペックは十分です。

また、Xシステムによるワイヤレス制御も魅力的です。安いモデルにも関わらず、このあたりをしっかり搭載しているのはさすがだと思います。

あえてデメリットを挙げるなら、本体がやや大きめなことです。前面に装着するリフレクター(おかま)が7インチの通常サイズなので、持ち運び用にコンパクトサイズを出してほしいところ。また、アンブレラ等を固定する部分がネジではなく、板バネに引っ掛けるタイプなので、COMETなど太めのモデルが入らないため注意が必要です。

オフカメラライティングを始める際、クリップオンストロボを購入する方も多いと思います。しかしこの値段であれば、ぜひMS300も検討してほしいです。実際に使ってみると、大光量、きれいな発光形状、モデリングランプなど、モノブロックならではの魅力が感じられるはずです。