最小ゲーミングPCケース「Dan Case A4-SFX」レビュー

ゲーミングPCといえば、大きく重いというイメージがあると思います。今回、そのイメージを覆すようなPCケース「DAN SFX A4 V3」を購入しました。

DAN SFX A4は、おそらくハイスペックゲーミングPCを作れるケースとしては最小といえる製品。外形寸法は112×205×327mmで、容積は7.2Lです。一般的なミドルタワーのPCケースは40L超なので、約1/6というサイズになります。

これだけ小さいと、“デスクトップPC”という名前の通り、デスクの上に置くことが可能です。このサイズでゲームができる高スペックPCが作れるのですから驚くばかりですが、一方でパーツを無駄なく詰め込まなければなし得ないサイズなので、組み立てが大変。詳しくは後述していきますが、難易度はかなり高めです。

また、価格面でもデメリットがあります。日本でも販売されている製品なのですが、あまり数がでないということもあるのか、約4万円と手の出しにくい金額。今回は海外から個人輸入することによって、送料を含めても235ドルという価格で購入することができました。

購入したのはSFFLABというサイトで、本体が225ドル、送料が10ドルでした。海外サイトでは日本へ直接配達できないところが多いのですが、同サイトでは日本への直接配送に対応しています。ネットで調べたところ利用しているユーザーも多いようなので、安心して購入できました。なお発送は、製造源であるLian Liから直接行われたようです。

ケースは内部のフレームも含めてアルミ製で、外観はヘアライン仕上げで高級感があります。一般的なケースではスチールを用いることが多く、外観はアルミでもフレームはスチールであることがほとんど。材質的に柔らかいのでネジ止めには気をつける必要がありますが、アルミニウムはスチールと比べてコストがかかる素材なので、値段が高いのも少し納得です。

前面の端子はUSB3.0が1つのみ。もう少し多いほうが利便性がありますが、シンプルな外観を考えるとバランスが良い気がします。実際に使ってみた感想としても、筐体が小さく背面の端子に気軽にアクセスできるので、前面は1つでも全く困りませんでした。

本体の側面と上面はパンチングメッシュになっています。全体的に工作精度がよく、バリなどもありません。パンチングのほかにメッシュフィルターなどはついていないのですが、机の上は床に比べてホコリが少ないので、特に内部が汚れることもない様子です。

また内部の余裕的にケースファンがまず付けられない構造なので、購入前は本当に冷えるのか不安でした。結果的には、CPUクーラーやグラフィックボードのファンから、直接外気を取り込めるので、むしろよく冷える印象です。ケースがアルミ製なので熱伝導もよく、筐体全体で熱を逃している感覚もあります。

ストレージは本体の底面部に2.5インチのものを2つまで搭載可能です。細かいポイントですが、筐体に直接ネジ止めするのではなく、ゴムを介して固定する仕組みになっています。Fractal DesignのDefineシリーズといった静音ケースでみる構造ですが、HDDの振動が筐体に伝わって共振することがないので、個人的には好きな固定方法です。こういった細部の構造にまで気を使っているのは、購入して驚いたポイントです。

この底面部にHDDやSSDを固定しない場合は、9cmのファンも固定可能です。筐体全体では、ファンを固定できる箇所が2箇所しかありません。もう1つもショートタイプのグラフィックボードを使用する場合のみ使用できるかたちです。基本的にはケースファンは1つも付けられないほど、極限まで無駄なスペースが削減されています。

なお、ストレージは前面パネル裏にも搭載できるようなのですが、試したところケーブルが干渉していまい、うまく使うことができませんでした。

ケースに各パーツを組み付けた様子が上記の写真です。マザーボードとグラフィックボードは背中合わせに配置されていて、PCIeはライザーケーブルで接続しています。

パーツはマザーボードがAsRock「H270M-ITX」、CPUがintel「Core i7 7700」、メインストレージがintel「760p 256GB」、電源がCorsair「SF600」です。このほかにグラフィックボードと、2.5インチのストレージ2基(SSDとHDD)を積んでいます。

またCPUクーラーの高さに制限があるため、CPUの冷却はNoctuaの「NH-L9i」を使用しています。こちらの別記事でも紹介していますが、小型PCにおける定番CPUクーラーの1つです。

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CPUクーラーが9cmファンなので騒音が心配でしたが、夏でも思ったより静かで、i7もしっかりと冷却できています。またCorsairの電源は低負荷時には停止することもあり、ブラウジング程度では、真夏でも、ほとんど音がしない水準。小さいPCなので騒音は覚悟していましたが、思ったよりも静音でした。

その理由としては、おそらく先述のように直接外気を取り込めるのでよく冷やせること、そしてファンの数がCPUクーラー/電源/グラボだけなので、騒音源が少ないことがあるのだと思います。もちろんゲームといった高負荷時はそれなりの音がするのですが、それでもヘッドホンを装着していると気にならないレベルです。

完成した状態には満足しているのですが、一方で組み立ては大変でした。特に電源のケーブル出口とストレージ付近はほとんど隙間がありません。特にケーブルは配線に気をつけた上で、詰め込んでいく必要があります。自作初心者だと苦労するのでは、と感じました。

そしてパズルのような構造になっています。たとえば電源を取り外すには、グラフィックボードとマザーボードを取り出す必要があるなど、パーツ交換だけでもひと苦労です。

しかし、その手間が些細なことに感じられるほど、この小ささは魅力的。それなりに組み立ては大変でしたが、完成した際の満足感はとても高いものです。ゲーミングにも使える性能がこのPCに詰まっていて、無駄なスペースがないという凝縮感があります。

グラフィックボードについては、当初はmsiの「GeForce GTX 1060 GAMING X 6G」を搭載しました。このグラフィックボードは2ファンモデルのなかでは大きめのモデルなのですが、問題なく収めることができます。

また、この記事の執筆中にグラフィックボードをPalitのRTX2060に買い替えました。ケースに余裕をもたせるために1ファンモデルをかったのですが、失敗だったかもしれません。思ったよりもファンノイズが大きく、ゲームをやると騒音がきになります。

本ケースは筐体が小さいので、内部の音が直接外に聞こえてきます。そのため、パーツ自体の静音性能が重要だと、改めて感じました。2ファンのものに買い換えるかもしれません。

結論として、DAN SFX A4を購入して大満足です。小さいだけでなく、高性能でそこそこ静音、見た目もシンプルでおしゃれなPCを作ることができました。

組み立てのしにくさと価格がネックですが、それを払拭するほどの良さがあります。特に価格に関しては個人輸入でかなりお得に手に入れられますから、検討してみるのもよいと思います。

執筆:びゃらま