ソニーのミラーレスカメラ「α7R II」を手放した理由

いいカメラも使わないと無意味

筆者は写真撮影が趣味で、カメラはソニー「α7R II」を愛用しています。しかし、これを手放すかどうかで悩んでいます。

その理由は、「どんなにいいカメラでも撮らなければ意味がない」ということ。もちろん画質はいいのですが、スマホが手軽に撮れてしまうため、スマホで撮っていることが多いのです。それに、スマホの画質もそこそこの水準まで進化しています。

誤解のないように書いておくと、α7R IIはとてもいいカメラです。4200万画素の撮像素子、高感度でもノイズの少ない仕上がり、ボディ内手ぶれ補正、S-Log2に対応する4K動画、大きく見やすいファインダー、マグネシウムの質感など、魅力を挙げたらキリがありません。

なお、ソニーのEマウント機は今後に期待できるフォーマットです。α9が発売後、α7RⅢもプロを意識した仕様になりました。商業用途でもこれからますます広がっていくことから、レフ機を駆逐する勢いであることは確実です。そういった点では、手放すことが悩ましくはあります。

しかし結局のところ、自分にはα7R IIが合いませんでした。確かに画質はよいのですが、4,000万画素超えのファイルはサイズが大きく、シャッターを切るハードルは高いです。それに、ここまでの画質はいらないというのが個人的な実感でもあります。

ほかにも気になるところでは、電池持ちの悪さや、ソニーのカメラに共通する起動の遅さなど、“気軽に使いにくい”というには十分な理由があります。一度起動すれば快適ですが、その前に手軽なスマホを手に持ってしまうという結末です。

より手軽なカメラに買い換えたい

そこで一回、本カメラにさよならを告げようと思います。レンズとして所有していた、FE55mmF1.8、FE35mmF2.8、タムロンの90mmマクロ(マウントアダプター使用)もまとめて手放します。

念のために改めてフォローしておくと、α7R IIはとても良いカメラだと断言できますし、一眼“レフ”にこだわりが無いのであれば、より安いα7Ⅱでも良いので、手を出すべき価値があると思います。それだけ、フルサイズには魅力があります。ミラーレスであれば、APS-Cサイズの一眼レフと同じくらいのサイズでフルサイズが使えるのですから。

α7R IIを手に入れた当初を振り返ると、最先端のガジェットを手に入れて、手にするたびにときめいたものです。しかし、人は慣れていくもので、ときめきは時間とともに薄れてゆきました。結果、オーバースペックな画質と、常に持ち歩くには大きく感じるボディが残りました。

一眼レフを持ち歩く人にとってはミラーレスは小型に感じるかもしれません。自分も昔はそうでしたし、D750からα7R IIに移行したときには、持ち歩いても負担にならないと感動したほどです。しかしスマホのカメラが進化してきたことで、気軽さはスマホに勝てないのだと悟りました。

今後の乗り換え先は、まだ決まっておりません。おそらく、APS-Cかマイクロフォーサーズといった、さらに小型のミラーレスでしょう。カメラ好きの間には「いつかはフルサイズ」というワードがありますが、改めてこう思えるよう、いったん離れてみようと思っています。

追記:富士フイルム「X-E3」を購入しました

X-E3

新たな乗り換え先として、富士フイルムのミラーレスカメラ「X-E3」を購入しました。レンジファインダースタイルを採用するモデルで、ファインダー部分が飛び出ていない、コンパクトな本体が魅力です。

また、クラシカルな外見も気に入りました。上部にダイヤルが付いていて、シャッタースピードがアナログ的に設定できます。絞りについては親指部分のマルチダイヤルですが、レンズによっては絞りリングを搭載しているモデルもあるため、まるでフィルムカメラのような操作感。それに、ダイヤルやレンズの外装は金属製なので、操作している際の質感も高く感じます。

X-E3の操作部

センサーサイズはAPS-Cなので、前に使っていたα7R IIと比べると劣ります。しかし、それを補うだけのレンズが純正でラインナップされており、明るい単焦点レンズも多く用意されているのです。

別の記事でも解説していますが、フルサイズの特徴であるボケの大きさとノイズの少なさは、明るいレンズを装着することでカバーできます。フルサイズ用の明るい大口径レンズは高価で大きくなってしまいますが、APS-Cでは求められるイメージサークルが小さいため、より安価で小さい大口径レンズが作れます。そういった意味で、APS-Cは高性能でコンパクトなレンズをお財布に優しい価格で使えるという、ちょうどいい選択肢です。

Xマウントレンズを4本並べた様子

今回はキットレンズ「XF18-55mmF2.8-4」のほかに、XF35mmF2 R、XF60mmF2.4 R Macro、XF18mmF2 Rという3本の単焦点レンズを購入してみました。1本2-3万円から購入でき、1本10万円くらいするフルサイズと比べるとかなりのお手ごろ価格です。

X-E3に買い替えた結果、α7R IIよりも気軽に撮れるようになりました。さすがにスマートフォンには手軽さで叶いませんし、α7R IIと比べると画質的には劣ります。しかし、これが自分にとって丁度いいのではというのが実感です。

しばらく使っていくと、不満に感じる点が出てくるかもしれません。それにデジタルカメラは日々新製品が出続けているので、より魅力的なモデルが登場する可能性もあります。それまでの間だけでもいいので、X-E3を目一杯使い倒せればいいと感じています。