iPhone 12シリーズから導入されたワイヤレス充電機能「MagSafe」。磁石でぴったり貼り付くことで、充電しながらスタンドとして使ったり、磁石でサードパーティーのアクセサリーを付けられたりと、便利な機能です。
そのMagSafe対応のアイテムに、Ankerからアイデア商品が登場しました。「Anker 633 Magnetic Wireless Charger」というモデルで、なんと普段はMagSafe対応の充電器として使いつつ、そのままモバイルバッテリーとして持ち出せるのです。また、ワイヤレスイヤホン用のパッドも用意されているなど、1台で3つの役割を持っています。
実際にここ数週間使っていますが、1台にまとまっているのは便利。モバイルバッテリーは常にフル状態なので、停電時にも充電できるという備えにもなります。欲をいえばApple Watchの充電機能も欲しかったところですが、それ以外は特に不満はなく、とても便利なモデルだと感じています。
ACアダプターとケーブルが付属、つなげばそのまま使える
まずパッケージを開けると、スタンド部分が組み立てられた状態で入っています。
外形寸法は10.8×10.8×15.8cmと、スタンドとしては一般的なサイズ。モバイルバッテリーが一緒になっているからといって、特に大きいということはありません。
付属品は本体のほか、USB-C to USB-Cのケーブル(約1.5m)、USB-C充電器です。メーカーによっては専用ACアダプターのモデルもありますが、汎用的なUSB-Cを使っているのは嬉しいところ。
試しに別のAnker製充電器を使ってみましたが、こちらでも問題なく動きました。設置場所によっては、付属ケーブルの約1.5mだと長過ぎる場合もあると思うので、そういった場合は別のケーブルを使うことが可能です。
ちなみに、ケーブル取付部の形状にくぼみなどはないため、ケーブルによって挿せないということなさそう。太いケーブルだと通せなさそうですが、付属ケーブルは標準的な太さなので、そこまで干渉しないと思います。
なお、ケーブルにはロゴが書いてある場合が多いと思いますが、この製品の付属ケーブルにはロゴの刻印がありません。既存製品の使い回しというわけではなく、本製品のためのオリジナルなのでしょうか。
もっとも、付属のUSB-C充電器は単体でも販売されている「PowerPort III 25W」というモデルです。価格は約2,500円(税込)ということもあり、買ったらそこそこの値段。これが付属しているのはお得感があります。
2021年に発売された新しい充電器ということもあり、GaN非採用モデルにもかかわらず、約5cm四方と小型です。試しに、少し古めで近い性能の「Anker PowerPort Speed 1 PD 30」と比べてみたら、ここ数年でかなり小型化が進んでいることがわかります。
メーカー的には非推奨だと思いますが、こういった古い充電器が余っているなら、付属の充電器は持ち運び用として使うのも良さそうです。
取り外すとモバイルバッテリーに変身
Anker 633 Magnetic Wireless Chargerの一番の特徴といえるのが、モバイルバッテリーが一体になっているということ。MagSafe対応の充電スタンドは各社から販売されていますが、モバイルバッテリー機能があるものは他に存在しません。
モバイルバッテリーはスマホユーザーの大半が持っていると思いますが、面倒なのが「使ったら充電」しなければならないこと。本製品では自動的に充電してくれるため、充電状況を気にする必要がありません。
また上述もしましたが、モバイルバッテリーに常に蓄電されているため、停電時もバッテリー容量の限りは、普段どおりに充電することが可能です。備えとしても有用ですが、災害時にも焦らず、いつもと同じように使えるというのは、隠れたメリットではないでしょうか。
アダプターをコンセントから抜いた状態でも、モバイルバッテリー機能は使えますが、もちろん取り外した状態で持ち出して利用できます。容量は5,000mAhで、最近のiPhoneであれば1回+α充電可能です(たとえばiPhone 12は2,815mAh、iPhone 13は3,227mAh、iPhone13 Proは3,095mAh)。
端子はUSB-Cが1ポートのみなので、昔ながらのUSB-Aは使えません。ケーブルを繋いだ状態では最大12W(5V/2.4A)の充電に対応します。またケーブルからも充電(最大12W)できますが、スタンドだと最大約21Wで入力できるため、スタンドにセットしたほうが高速で充電できます。
なお、Ankerでは同じMagGoシリーズから、MagSafe対応の5,000mAhモバイルバッテリーが単体で売られています。ただしこちらは別物。スタンドから充電するためのピン(ポゴピン)が用意されていないなど、使い回すことはできません。
MagSafe対応のモバイルバッテリーとして使うこともできます。手持ちのiPhone 13 miniにつけてみたところ、下の方が1cmほど飛び出すものの、問題なく使えます。iPhone 13シリーズではカメラが大きくなったこともあり、古い設計だと干渉してしまうものもあるのですが、本製品ではそういった心配はありません。
ワイヤレス時の出力は最大7.5Wです。ワイヤレス規格としては一般的なQiなので、AirPods ProやWF-1000XM4など、ワイヤレス充電対応の完全ワイヤレスイヤホンなども充電可能。旅行などの際にケーブルが減らせるのもメリットです。
スマホスタンドとしても使える
スタンド部分の話に戻ると、アームの部分は金属製で高級感もしっかりあります。本体の重さが約407gとずっしりしていることもあり、iPhoneを固定しても安定感がある印象です。
台座の部分もワイヤレス充電器になっていて、メーカーとしては完全ワイヤレスイヤホンを充電する想定のようです。出力は5Wとマグネット部分よりも低いですが、もちろん台座部分でiPhoneを充電することもできます。ただしあまり高さに余裕がないので、大きなケースの完全ワイヤレスイヤホンなど、モデルによっては窮屈になりそうです。
スタンド部分は角度を調整することができ、その調整範囲が広めなのも特筆です。やや動きに遊びがあるのは残念ですが、たとえば机の上に置いて、充電しながらインカメラで自撮り配信することもできそう。iPhoneを回転して横向きにしても使えるので、映画やYouTube動画などをみるためのスタンドとしても使えます。
また、スタンドの底にはLEDライトが仕込まれていて、iPhoneをセットした瞬間に発光します。アップル純正のMagSafeは、iPhoneをセットするとサークル状のアニメーションを画面表示しますが、それをイメージしているのか、LEDが一周するように光っていきます。これ以外にあまり発光する場面はありませんが、説明書によると、台座部の充電パッドが異物(金属)を検知したときにも点滅で警告してくれるようです。
スマートフォンを充電するときはケーブルを繋ぐ方が多いと思いますが、やはりワイヤレス充電は便利です。置くだけで充電できるだけでなく、本機であればスタンドになるため、充電しながら見やすい角度で通知を確認することもできます。
また、MagSafeのメリットとして「充電位置を探らなくていい」というのも個人的に推しポイントです。ワイヤレス充電は意外と位置がシビアで、少しずれると充電されません。朝起きてみたら充電されていなかったこともありました。磁石で固定できれば確実に充電されますし、最適な位置で充電できるため、発熱も抑えられます(つまりバッテリー寿命への影響も減らせる)。
633 Magnetic Wireless Chargerは、これらワイヤレス充電の快適さに加えて、モバイルバッテリーもセットになっている製品です。何度も繰り返しになりますが、常にフル充電になるのでバッテリーの充電の手間もなく、また実際に停電時でも役立ちました。
モバイルバッテリーを使わないユーザーからすると、モバイルバッテリーは無駄な機能に思うかもしれません。しかし、本機ではモバイルバッテリーの存在を意識せずに、いつでも使える状態が保てます。むしろ備えとして、普段モバイルバッテリーを使わない方にこそおすすめしたいアイテムです。