「BALMUDA The Pot」の良いところ、悪いところ。4年使用レビュー

BALMUDA The Potの正面写真

お湯を沸かす道具として、すっかり定番になった電気ケトル。その代表格はティファールですが、一方でおしゃれな電気ケトルといえば、バルミューダの「BALMUDA The Pot」が人気です。

筆者も愛用者のひとりで、かれこれ4年間も使ってきました。やはり何年使ってもデザインの良さは色褪せず、何度みても「おしゃれだな」と感じてしまうだけの魅力を、いまだに感じてしまいます。

そんなBALMUDA The Potですが、これだけの期間を使用していると、良いところだけでなく、悪い点も同様にわかってきます。特に、シンプルなのは良いのですが、ときには機能性が欲しくなることもあるのです。

また、買う前に気をつけて欲しいこともあります。それは、安全面に関する機能性について。本体が金属製のために熱くなったり、倒れた際に漏れを防ぐ機能などが入っていないためです。筆者も油断して、やけどしそうになった経験があります。

それを差し引いたとしても、本モデルは魅力的な製品であることは、先に強調しておきます。デザインが気に入っているのでしたら、購入しても後悔はないはず。実際、筆者は4年間使っても、いまだに惹かれてしまうのですから。

本稿では、これまで使ってきた体験をもとに、BALMUDA The Potの良いところ・悪いところについてまとめていきます。カタログスペックやファーストインプレッションでは分からないような部分にも触れていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

インテリアにもなるデザインの良さ

まずは良いところから触れていきますが、先ほどにも述べたように、一番の魅力は間違いなく「デザインの良さ」です。シンプルでスリムなシルエットによって、室内に設置するだけでもインテリアになります。

筆者が愛用しているのはブラックカラーですが、ほかにはホワイト、STARBUCKS RESERVE限定色として銅色の光沢モデルが用意されています。過去には、シルバーに輝くクロームモデルも発売されていたことがありました。

本体の容量は600mlで、電気ケトルとしては小さめの部類。そのおかげか、本体のサイズが小ぶりなので、室内に馴染んでくれるという良さもあります。

お湯を沸かす際にキセノン管が発光している様子

おしゃれなだけでなく、遊び心にも注目。電源ランプはLEDではなくネオン管が使われているため、独特の暖かさがあります。ミニマルに削り尽くすのではなく、こういうポイントを残してくれるのも魅力を感じるポイントです。

また、本体の質感の高さについても触れておきましょう。本体の大部分はステンレスによる金属製で、実際に手で持つと高級感を感じます。フタの部分と取っ手、電源用のベースに付いてはプラスチック製ですが、ブラックとホワイトカラーの場合は金属部分がマット塗装になっており、異なる素材であることを感じさせません。こういったことからも、実際に使うと見た目以上の作りの良さが感じられます。

電気ケトルとしても“使いやすい”

デザインだけでなく、使い勝手の良さも、長年使用してきて感じていることです。沸かす速度もティファールと同等の水準であり、基礎スペックとしては十分なため、それ以外の良さが際立ちます。

デザイン最優先の製品では、見た目は良いけど使いにくいということが往々にしてあります。本機はそういったことがなく、純粋な電気ケトルとしても優秀です。

BALMUDA The Potの注ぎ口の拡大

その立役者といえるのが、いわゆるグースネック形状になっているお湯の出口。コーヒー用のドリップポットではよくあるデザインですが、コーヒーのドリップ以外でも使いやすいことに驚きました。

グースネックの特徴は、お湯の流量が調整しやすいということです。ふつうの電気ケトルでは難しいような、糸のように細い量でもお湯を注げます。

逆に角度をつければ、たっぷり注げるなどコントロールも簡単。角度についてもあまり大きく傾けなくてよいため、腕の負担も的にも大きくなりません。

お湯を注いでいる様子

また、ハンドルも持ちやすく感じました。お湯を最大までいれた状態であっても重さを感じにくく、重心バランスも良いようなので、注ぐ際も手に負担を感じません。あくまで個人的な感想ですが、こういったことは長く使い続ける上でも重要なポイントです。

それに、電源スイッチの動線の良さには感心しました。水を入れてセットするとき、ハンドルを持ったままベースにセットするのですが、そのまま下に手を下ろすだけでスイッチをオンにできます。いちいちスイッチを押すのではなく、自然な動作でスムーズにオンにできる位置に配置されているのです。

使っていて感じた「良くないところ」

本体が熱くなってしまう

先ほど本体が金属製で高級感があるとお伝えしましたが、逆に熱くなってしまうというデメリットもあります。

ティファールをはじめとした多くの電気ケトルはプラスチック製ですが、一般的なプラスチックは熱を伝えにくいという性質があります。そのため、中に熱湯が入っていてもそこまで熱くなりにくいです。

一方で金属は熱伝導率が高いため、中に熱湯が入っていると、外側も同じくらいの温度になってしまいます。間違えて触ってしまうとやけどは必至で、気をつけて使う必要があり、小さな子供には危ないかもしれません。

フタをしっかりと確認しないと危ない

長い間使っていて特に危ないと感じたのが、フタの仕様です。しっかりと確認して使えば問題ないのですが、油断してしまうと、これが事故につながる可能性があります。

フタは一部が切り欠きになっていて、ここから蒸気が出てくる仕様ですが、この向きが注ぎ口側に向いていると、角度をつけて注いだときにここから熱湯が漏れてきます。また、フタがしっかりと閉じられていない場合、これも同様にお湯が漏れてしまいます。

一般的な電気ケトルでは、お湯の注ぎ口が上部にあるため、たとえフタがしっかり閉じられていなくても問題にはなりにくい構造です。しかし、BALMUDA The Potではお湯の注ぎ口がグースネックになっているため、ケトルの上部とお湯の出口が別々。注ぐことに集中していると、別のところから急に熱湯が漏れてきて、やけどにつながってしまいます(実際、筆者はこうしてやけどを経験しました)。

入れた水の量がわかりにくい

デザイン的に仕方のない部分ではあるのですが、外側に窓がないため、注水する際の水量が確認しづらくなっています。フタを都度開けないと、残りのお湯の量が見えないのも少し不便な点です。

BALMUDA The Potの水量メモリ

また本体の内側には、最大容量である600mlのメモリが付いているのですが、これがやや見づらい位置にあります。外観デザイン優先なので納得できる部分はありますが、もう少し見やすいと嬉しいところです。

なお、本機には吹きこぼれ防止機構があるのですが、これがシビアです。600mlを超えて水をいれて温めようとすると、沸騰の瞬間、本体の下からお湯を逃がすようになっているのです。少し多めに沸かそうとするだけで、すぐに棚が水浸しになってしまうのは困りものです。

水あかが目立つ

これはブラックカラーのみの問題だと思いますが、何年も使ってくると水あかが目立ってきます。特にフタと本体の間は、カルキによって白い汚れがびっしりです。

BALMUDA The Potの汚れたフチ

基本的には浄水しか使っていないため、あまり水の中にカルキはないはずなのですが、ここまで汚れてしまいました。

もちろん、何もしていないわけではないのですが、本体がざらざらしているので、なかなかこびりついて取れません。クエン酸も試してみましたが、しばらく漬けてから拭き取ってもあまり落ちなかったので断念しました。

塗装が浮いてくる

しばらく使ってきて起こったのが、外観の塗装が浮いてくるという問題です。これは他の方でも起こっているようで、レビューを探していても散見されました。

具体的には、中に空気が入ってきたかのように膨らんできます。まるで貼り付けに失敗した液晶保護フィルムのように、気泡が入っている状態です。

BALMUDA The Potの塗装が浮いてしまった様子

筆者の個体では症状が軽いようですが、もっと広範囲が気泡になるなど、人によって差があるようです。また、時間を追うごとにこの気泡が増えていきます。

デザインが持ち味のモデルだけに、経年劣化によって外観が悪くなっていくのは残念なところ。素材的に仕方ないのかもしれませんが、ユーザーとしては解決してほしい部分のひとつです。

悪いところがあっても許せるほどの魅力

悪い部分もいくつか挙げましたが、冒頭でもお伝えしたとおり、BALMUDA The Potは魅力的な製品です。特にデザインについては、4年間ほぼ毎日使ってきて、いまだに魅力を感じています。

デザインだけでなく、使い勝手の良さも本機の良いところです。コーヒー用のドリップポットと同じ形状なので、コーヒーを淹れる際には特に使いやすい。それだけでなく、お湯のコントロールがしやすいため、日常使いとしても最適です。

もちろん、デザインを優先したがためにデメリットもありますが、メリットはそれを上回ります。やはり実際に使ってみないと分からない良さというものはあるもので、本機は長く愛用していたくなるような心地よさを感じるモデルといえます。