MOTU M2を購入。品薄の理由がわかる高コスパモデル

MOTUというブランドのオーディオインターフェース「M2」を購入しました。入荷まで数ヶ月待ちになるほどの人気商品で、筆者もしばらく待ってから手に入れることができました。

届いてから毎日使っていますが、「買ってよかった」と思える製品です。人気の理由も納得で、この値段でここまでの性能があるのかと驚きました。

M2は、楽曲制作で愛用者の多い、オーディオインターフェースというジャンルの製品。価格は税込みで24,800円です。

MOTUというブランドに聞き覚えのない方も多いかもしれませんが、同社は、アメリカのケンブリッジにある企業です。ブランド名は「Mark of the Unicorn(マークオブザユニコーン)」の略で、1985年の創業以来、楽曲制作向けのソフトウェアやデバイスをラインナップしてきました。

同社の製品はプロが使用するスタジオ向けの製品がメインで、一般向けの製品としては、安くても10万円弱のモデルがほとんど。そんなMOTUが出してきたエントリーモデルが「M2」「M4」の2機種です。なお、M2とM4は入力系統の数が2つ/4つという違い以外は、ほぼ同じです。マイク1つと音声再生とかであれば、安価なM2のほうで十分だと思います。

M2の魅力は、約2.5万円という価格にもかかわらず、約10万円以上のモデルと比べて、機能性を削ることで基本性能を妥協していないという点です。たとえば、DACチップは上位機と同様のものを使っていたりします。このことから「コスパが良い」ということで人気殺到し、2019年末の発売以降、品切れが続いているわけです。

なお、他社でコスパが良いといわれる製品として、SSL(Solid State Logic)というブランドの「SSL2」という製品があります。SSLもレコーディングスタジオに展開するブランドですが、この製品も最小限の機能に留めることで、低価格でも基本性能を犠牲にしていないというわけです。

M2はマイクを接続しての録音にも対応しますが、仮にマイクを使わなくても、オーディオ用のDAC/アンプとしての利用が可能です。実のところ、本機は “音質が良い” という意見が多かったため、筆者も、ヘッドホン・イヤホンでの音楽試聴用途で購入しました。

外観から見ていきましょう。正面には、2系統の音声入力(ライン/マイク)、そしてヘッドホン出力を搭載しています。音声入力はギターやライン入力、およびマイク入力のコンボジャックで、+48Vのファンタム電源にも対応しています。

個人的に気に入ったのが、音声のレベルを表示する小型の液晶ディスプレイ。デザイン的にも魅力ですが、実用性も高く、動きがとてもなめらかで反応も早いです。これによって、録音レベルの調整や、再生しているソース音量のチェックが簡単に行なえます。

この価格帯に限らず、オーディオインターフェースは、LEDによる簡易式のレベル表示が多いです。より上位の人気モデル、RMEの「Babyface Pro FS」も同様です。2万円台で液晶ディスプレイを搭載するモデルは皆無といっていいので、この点だけで考えてもコスパがいいと感じます。

また、モニタースピーカーとヘッドホンの出力が、それぞれ独立していることも、この製品を選んだ決め手でした。切り替えボタンを使う前提に、ボリュームを一つしか搭載していないモデルも多いです。個人的には、スピーカーとヘッドホンなどを瞬時に切り替えたいことが多く、この仕様はかなり助かります。

また、背面にRCA出力(モニタースピーカー向けの音声出力)とMIDI入力/出力、USB Type-C端子、電源スイッチを搭載しています。USB Type-C端子はPCと接続するためのもの。RCA端子は固定出力ではなく、正面のボリュームから出力を調整できます。

今回はUSB-DACとヘッドホンアンプとしての使用が前提だったので、オーディオ面を中心に触れておきます。DACチップには「ESS Sabre32 Ultra」を採用していて、これはMOTUの10万円超えモデルと同様とのこと。型番的には「ES9016S」を搭載しているようです。

この上位機と同じDACを搭載していることが、コスパがよいと言われるゆえんでもあるようです。オーディオにおいては、DACとアンプは音質を決める大きな要素です。仮に良いDACを使ったとしても、他が悪ければ本末転倒なのですが、そこは歴史と実績のあるMOTUブランド。チューニングなどがしっかりしているようで、オーディオ用として使用しても、個人的に満足いくものでした。

M2は機能性としては上位機と比べるとかなり絞られているので、最低限の基本性能に特化することで、この価格を実現できたのだと思います。

サウンドの傾向としてはインターフェースらしく、味付けの少なめな音質です。総じてクリアという印象で、女性ボーカルとの相性も良好。解像度も高めですが、かといって極度に硬いわけでもなく、長時間聴きやすい音調だと感じます。

少し気になったのは使い勝手の面で、イヤホン用に使用するには、少し出力が大きいと思いました。楽曲制作用のモニターヘッドホンは、ハイインピーダンスで鳴らしにくいモデルも多いため、それを想定したパワーなのだと思います。

手持ちのE-MU「Teak」というヘッドホンでも、9-10時くらいでそこそこの音量ですし、イヤホンでは鳴らしにくいと評判のfinal「E5000」では、最低音量でもそこそこの大きさになってしまいました。高能率のIEMでは、iFi audio「iEMatch」で音量を落としてあげないと使いにくいです。その場合、せっかくのクリアさと高解像によるエッジ感が落ちてしまうので、少しもったいないかなと感じました。

もしイヤホンを使いたい場合、Macでは無理だったのですが、WindowsではOSから出力音量を絞れるので(初期値は100%)、小さめに設定するのもありだと思います。その場合、接続USBポートを別の場所に指すと音量が初期値になってしまうため、再生時に予期せぬ大音量にならないよう、注意が必要です(Windowsは各USBポートごとに設定を保存するため)。

当初はオーディオ用に購入しましたが、せっかくなのでマイクを接続して、ビデオ会議にも役立てています。USBケーブル1本で再生も録音もできるので便利ですし、液晶のレベル表示を見ながらマイク音量の調整が楽に行えます。コンデンサーマイクなどファンタム電源を使う場合は、+48Vスイッチのオンオフでミュートスイッチとしても使えるので、使い勝手も良好です。

冒頭に述べたとおり、「買ってよかった」というのが個人的な感想です。筐体もボリュームもアルミ製で質感がよく、安っぽい感じがありません。液晶ディスプレイのデザインにも満足です。

オーディオ機器として利用した場合の音質についても、オーディオインターフェースらしく、モニターサウンドです。味付けは少なめですが、いっぽうで楽曲の良さをストレートに楽しめることが魅力です。

モニターヘッドホンを想定しているため、イヤホン用としては出力が大きめなので注意が必要ですが、値段を考えると、ヘッドホンアンプとしても良コスパの製品だと感じました。