ロジクール「MX Master 3」レビュー。もう前のマウスに戻れない

MX Master 3の写真

ガジェット好きの中で、定番ともいえるマウスがLogicool「MX Master 3」です。テレワークによって自宅のPC環境を整えようという動きがあるなか、SNSやブログなどでデスク環境を披露する方が増えました。そこで大部分の方が紹介していた人気モデルが、本機です。

筆者も日々テレワークを行うなかで、マウスの買い替えを検討していました。一番重視していたのは、疲れにくいことと、Windows/Macの双方で使いやすいこと。実は買ってから2ヶ月以上使っているのですが、こういった希望を満たしてくれるだけでなく、想像以上に使い勝手もよく満足しています。

MX Master 3を開封している様子

Logicoolは言わずとしれた、スイスのPC周辺機器メーカーです。多くのモデルをラインナップしていて、安いものは1,000円台から購入できます。そのラインナップの最上位シリーズ「MX」の最新モデルが、このMX Master 3。実勢価格は14,000円弱と少し高めですが、安いモデルと比べても、値段分の価値があるモデルだと感じています。

MXシリーズは、前モデルとなるMX Master 2Sも評判がよく、根強い人気のあるシリーズでもあります。余談ですが、タイムセール祭りといったAmazonの大型セールでは、MX Master 2Sが8,000円を切る価格で販売されるので、価格重視の方はこちらもおすすめです。また、キーボードでは「MX Keys」というモデルもラインナップされています。

MX Master 3で従来モデルから大きく進化したのは、「MAGSPEED」というホイールの新機構。電磁石を用いることで、無段階/有段階がシームレスに切り替わります。これまでマウスのホイールは、ラチェット(カチッカチッとさせる機構)による機械式のものが一般的でした。無段階でスクロールできるモデルもありましたが、スイッチによる手動切替が必要でした。

ホイールの機構が電気式になったことにより、速くスクロールした場合は無段階、通常時は有段階といった制御が可能になります。実際に使って日々感じることですが、この制御が絶妙。ページを一気にスクロールしたい場合、自動的に無段階に切り替わり、慣性で回り続けてくれるので、高速スクロールが可能です。

MAGSPEEDを採用するマウスホイール

スマートフォンでは、スワイプの強さによってスクロール量の調整ができますが、これがPCでも可能になった感覚です。なお、常に無段階でもいいのではという意見もあるかと思いますが、それではホイールにブレーキがかからないので、少し動かすときは面倒。これをスクロールの強さに応じて切り替えてくれるのは快適で、他のマウスにも搭載してほしいくらいです。

余談ですが、ホイールの素材が削り出しのアルミになったことも、個人的には好印象でした。一般的にはゴムでできているか、もしくはゴムが巻かれているものが多いと思います。長年使っていると劣化でべたべたしてしまう事が多く、少し高めのマウスということもあり、長時間使えそうなのは安心感があります。

MX Master 3の底面

購入するうえで、魅力的だと思ったのが、3台までのデバイスを登録できる機能です。USBドングルによる2.4GHz帯接続/Buetooth接続の両方に対応しており、それぞれに自由に登録が行なえます。USBドングルは1台までの登録ですが、遅延の少ない接続が可能。そしてBlueoothは若干の遅延がありますが、Android/iOSスマートフォンや、タブレット、ノートPCなど、幅広い対応端末が持ち味です。

筆者は、プライベートでは自作のWindows PC、仕事ではMacBookを使っています。1にはWindows PC、2にはMacbookを登録していて、ボタンを押して切り替えるだけですぐに仕事モードが完成します。現状では3に何も登録していませんが、増えた際にも対応できる余裕があるのはいいことです。

MX Master 3の充電端子

充電端子はUSB Type-Cで、カタログスペックでは70日の利用が可能です。日中はテレワーク、夜はプライベートとして一日中使っていると、それよりは短い感覚ですが、それでも1ヶ月に1回充電しているかどうかというくらいです。

MX Master 3を手で持った様子

疲れにくさという点についても、2ヶ月以上毎日使った印象からすると、さすがの設計だなと感じます。本体がやや外側に向けて傾いているので、手首に無理なひねりがなく、負担がかかる感覚はありません。また親指の位置も絶妙で、自然なかたちでフィットしてくれます。安いマウスでは若干手に無理がかかる箇所があったりするのですが、そういう心配は皆無です。

ただし、手の大きさなど個人差があると思うので、ぜひ店舗で試してから購入することをおすすめします。筆者の手のサイズでは、小指も含めてマウスでホールドできるのですが、大きい方ははみ出してしまいそうです。こういった製品では、何千人・何万人のデータを用いて設計するなど、多くの方にフィットするように開発しているはずですが、もし心配な方はぜひ触ってみてください。

地味に使っていてありがたいのが、横(水平)スクロール用のホイールが付いていることです。特に、エクセルの資料で役立っています。またクリエイティブ系ソフトとの相性もよく、Premiere Proではタイムラインのスクロール、PhotoshopやAdobe XDではキャンバスを移動できるなど、より快適に操作できます。搭載するマウスは希少なので、これまで使ったことはなかったのですが、手放せなくなりそうです。

MX Master 3の側面ボタン

このように多くのメリットをもつMX Mater 3ですが、気になるところもありました。デスクワークのマウスとしては完璧ですが、ゲーム用としては、ゲーミングマウスに大きく譲る印象です。

本機はそこそこの重さなので、いわゆるセンシ(マウス感度)を高めにしないと、繰り返し持ち上げることになり、指が痛くなります。ハードウェアスペック的には、コンマを競うレベルの戦いでないならFPSでも使えるのですが、この点で、しっかりとゲームをやりたい方は、別のモデルのほうが良いと感じました。

筆者は現在、MX Keysと組み合わせてMX Master 3を愛用しています。同じシリーズだけあって、デザインの統一感があります。またMX Keyも、3つのデバイス接続を切り替えて使える製品です。キー配列や印字もWindows/Macの双方が考慮されているものは珍しく、この製品以外にはほぼ存在しません。

MX Master 3とMX Keysを並べた様子

デスクワークを行う方にとって、マウスは長時間使用するものです。よく通販で寝具をアピールする際に「人生の1/3を過ごす」と言われたりもしますが、マウスも同様に、かなりの時間をともにする道具だと思います。

やや値がはる製品ですが、せっかく使うなら、手に負担なく、そして上質かつ快適なものを使ったほうが良いはず。そんなときに選ぶマウスとして、LogicoolのMX Mater 3は、真っ先にオススメできる製品です。