デル「U2720QM」半年使用レビュー。4K&大画面でテレワークに最適

コロナ禍でテレワークになった方も多いと思います。筆者もそのうちの一人として、自宅環境をせっせと改良してきました。

在宅ワークを改善していく中で、一番効果があったと思うのが「液晶モニター」です。現在愛用しているのが、デルの27型4Kモニター「U2720QM」。2020年6月に購入して以来、半年以上にわたり毎日使ってきました。

今までいくつものモニターを使用してきましたが、その中でも一番満足度は高いかもしれません。詳しくは後述していきますが、4辺ベゼルレスのデザイン、画像編集にも使える水準の画質、ノートPCが1本でつながるUSB Type-Cなど、高いレベルでまとまっています。

余談ですが、「U2720Q」という、U2720QMと似たモデルが存在します。販路で型番を分けているようで、Qがデルの直販ストア、QMがAmazonのようです。スペックは同一ですが、付属品の映像ケーブルのみ異なり、QはDisplayport、QMにはHDMIが付属します。

ベゼルレスでスタイリッシュ

まずは外観から見ていきましょう。本機の魅力は、4辺がベゼルレスのデザインです。多くのモニターは下部を除いた3辺がベゼルレスなのですが、U2720QMでは、下部も含めてベゼルレス。そのおかげでスッキリとしています。

スタンドの調整範囲も魅力的。安いモニターとは異なり、上下左右/回転/チルトに対応します。基本的には画面の上端と目の高さを合わせるのが良いのですが、もしモニターの高さが合わないと、肩こりやドライアイの原因となってしまいます。モニターアームを使うことでも改善できますが、別途導入コストが必要です。

各種インターフェースについては、裏面にHDMI入力、DisplayPort入力、USB Type-C(アップストリーム)、USB Type-A×2(ダウンストリーム)、音声出力を搭載します。スピーカーは搭載しないので注意が必要です。

また側面にも端子があり、USB Type-AとType-C(ともにダウンストリーム)を備えています。これらのUSB端子は、背面のUSB Type-CとPCを接続することでハブとして利用可能です。C to Aのケーブルも付属しているので、Type-AしかないPCでも使えます。

C to CのケーブルでノートPC等と接続した場合には、USBハブ機能だけでなく、映像の伝送、さらに最大90Wの充電まで行えてしまいます。つまり、1本のケーブルのみで完結してしまうわけです。

USB Type-C対応のモニターは各社からラインナップされていますが、18Wまでのモデルも少なくありません。しかし18Wは、例えばMacBook Pro 13インチでは心もとない水準。PhotoShopなどの重いソフトでは、徐々にバッテリー残量が減っていきます。

その点、90Wまで対応していれば、MacBook Pro 16インチのようなハイスペックモデルをフルパワーで使ってもまず問題ありません。90Wまで対応しているモデルは希少なので、特にハイスペックモデルを利用している方は、この点だけでも購入候補に入ると思います。

4Kで文字が鮮明に

本機の解像度は4K(3,840×2,160)です。一般的なフルHDをちょうど4つ並べたようなドッド数ですので、フルHDと同じ画面サイズの場合、1/4近い密度でドットが詰め込まれていることになります。

画面の表面処理はハーフグレアとなっていて、反射を抑えながらも、ドットのギラギラ感が抑えられています。品質の良いパネルだと思います。

画面を拡大した様子

4Kはドットひとつひとつの大きさが小さいので、高精細な表示が行なえます。通常の使用距離ではドットが視認できないので、文字はクッキリですし、写真は細部まで表現できます。

iPhoneのRetinaディスプレイ、Androidスマートフォンなどを想像して頂くとわかりやすいかもしれません。特にデスクワークでは文字を見ることが多いと思いますが、4Kだとクッキリ表示できるので、疲れ目防止にも効果的です。

よく誤解されやすいのが、「4Kだと文字が小さい」とい心配です。早くからRetina対応のMacに比べ、当時のWindowsは4K対応が不十分でした。現在ではWindowsも改善されていて、フルHDと同じ文字サイズで表示できるため、小さくて読みにくくなる心配はありません(表示サイズを200%に設定するとフルHDと同じになります)。

写真編集にも使える表示性能

U2720QMのカタログスペックにおける色域は、DCI-P3 95%、sRGB 99%カバーです。またコントラストは1300:1、HDRはHDR400に対応します。

色域を手持ちの測色器でテストしてみましたが、カタログスペック通りのカバー率を確認できました。

Adobe RGBについてはやや不足していますが、sRGBはしっかりとカバーしています。写真プリントではAdobe RGBが多いですが、ウェブにおける標準はsRGBなので、SNSやネット上にアップする前提の写真であれば、色域は十分な水準だと思います。また個人的には、写真プリントもsRGBで正直十分だと思います。

Delta-E 2未満に調整されていることも特徴です。かんたんに言うと、色差が少ないので、ある程度正確な色表示が行なえます。また、ディスプレイ内の色むらも少ないです。付属品のなかにキャリブレーションレポートも同梱しており、Delta-Eの数値も確認できます。

色測器を使用して、画面の特性も測ってみました。こういったモニターの中では特性がよくリニアで、RGBの値も揃っています。

安いモニターでは線が歪んでいたり、特定の色だけがずれていたりするのですが、そのようなことはありません。本機はハードウェアキャリブレーションに対応しておりませんが、画像編集用/動画編集用として使っても問題ないくらいの水準です。

半年使ってみて

購入から半年以上つかっていますが、非常に満足しています。値段は約6万円とディスプレイとしてはやや高価な部類ですが、4Kの解像度をはじめ、豊富な機能や接続性、画質の良さなど、価格に見合ったボリュームを備えています。

特に不満を感じる部分もなく、快適にテレワークを行えますし、プライベートでも役立っています。この前には24インチ/フルHDのモニターを使っていましたが、もう戻れそうにありません。それくらい、買ってよかったと思える製品だと実感しています。