BOSE「Sleepbuds II」レビュー。高機能な“デジタル耳栓”

夜寝るとき、「外の音がうるさい」「同居人のいびきがうるさい」など思ったことはありませんか? 個人的な体験としては、旅行先で空調の音がうるさかったり、キャンプで夜遅くまで話す声が気になったことがあります。

そういった方に向けて、イヤホンやスピーカーで有名なBOSE(ボーズ)から、睡眠用のイヤホン「Sleep Earbuds II」が登場しました。今回、The Insiders経由でサンプルをお借りしましたので、こちら試していきたいと思います(なお広告記事ではないので忖度なしです)。

実際に試した感覚としては、普段は寝るときにイヤホンを付けないので不安でしたが、思った以上に異物感がなく、付けたまま快適な睡眠ができました。

詳しくは後述していきますが、付けたまま横になっても大丈夫な設計、痛くならない装着感、アプリからの操作の快適性、アラーム機能など、完成度の高い製品だと思います。

待望の第2世代モデル

Sleepbuds IIは、見た目こそ左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンですが、その実情はいわば “デジタル耳栓”です。イヤホンの遮音性に加えて、独自の「ノイズマスキング」サウンドを再生することで、外界からの音を防ぐという仕組みです。

このモデルの前には、初代機となる「Noise-Masking Sleepbuds」が2018年に発表されました。しかし、発売してまもなく販売中止に。返金も行なわれました。バッテリーが充電されないなどの不具合があったようです。

そこから改善を加えて登場したのが、今回のSleepbuds II。前モデルは発売直後に消えてしまったこともあり、Sleepbuds IIはネーミングこそ“II”ですが、初代機といっても良いと思います。

高級感のある金属製ケース

まずは外観から見ていきましょう。

本機の価格は33,000円(税込)と高価ですが、持った瞬間から「価格が高いだけあるプレミアムな製品だな」と認識させられました。

イヤホン本体は金属製のケースに入っており、とても高級感があります。インテリアにも馴染むので、置きっぱなしにしても問題ないレベル。加工精度も高く、バリなどありません。裏側はゴムで滑りにくいようになっています。

ケースの大きさは一般的な完全ワイヤレスイヤホンと比較するとやや大きめの部類になりますが、持ち運び重視の製品ではないので気にならないと思います。大きいといっても片手に収まるサイズですので、旅行やキャンプ、カフェの作業時など気軽に持ち出し可能です。

小型なイヤホン本体

また、イヤホン本体はとても軽くコンパクトです。手に持ってみると、本当に完全ワイヤレスなのかと疑いたくなるほど。これだけ小さな本体の中に、アンテナやドライバー、バッテリーなどを収めていることに驚きました。

イヤーチップは同社の他の製品でも馴染み深い傘型。このイヤーチップと一体成型されたシリコンの中に本体をはめる形状となっています。

このイヤーチップは、付属品として3サイズ(S/M/L)が同梱しています。最初に装着されているのはMサイズですが、合わない場合は各々に合わせて調整できます。

シリコンの部分から本体を取り出すと、さらに小さくて改めて驚きました。そのサイズは2cmに届かないくらい。ノズルの部分を除くと1.3cmほどです。

この小ささのおかげで、イヤホンの高さが抑えられていることもポイントでしょう。

普通のイヤホンでは装着時に耳から飛び出してしまいますが、Sleepbuds IIはそんなことはなく、装着したまま横になってもイヤホンが枕に接触しません。横向きで寝る方にとっても、耳が痛くならないように設計されていることがわかります。

実際に装着した感想としては、快適そのものです。カナル型イヤホンだと装着時に圧迫感があるものですが、本製品はそのようなことはなく、耳穴の上に軽くふたをしているような状態。枕にこすれる音も感じません。

一方で、傘型でしっかりと耳に密着してくれるため、そのままでもカナル型に匹敵するくらいの遮音性があります。

装着したまま寝てみましたが、朝になっても痛くなることはありませんでした。このあたりも、圧迫感が少ないことによるものかと思います。

軽くて装着している感覚もほぼないので、「普通の完全ワイヤレスイヤホンでもこれくらいコンパクトなモデルがあったら良いのにな」と感じたくらいです。

最大40時間使えるバッテリー性能

これだけ本体が小さいと、気になるのがバッテリーの持ち。公式では、イヤホン単体で最大10時間と案内しています。

さらに充電ケースに収納することで、完全ワイヤレスイヤホンの充電が行えます。ケースからは3回分のフル充電が可能です。

なお実際に試したところ、1時間でサウンドを切る設定にして、7時間睡眠で起床時に67%でした。朝起きるまでずっと再生することはないと思いますので、実用上はもう少し長く使えるのかなと思います。

また、充電ケースには5段階のLEDインジケーターを備えています。蓋を閉じていると見えないのですが、そこをスライドすると現れる仕様。光り方も眩しくなく上品で、このあたりにも高級感が感じられます。イヤホンにはマグネットがついていて、近づけるだけで充電端子にセットされるのも嬉しいポイントです。

充電端子にはUSB Type-Cを採用しているので、Androidユーザーであれば手持ちのものを使えます。初代モデルと異なり、付属品はケーブルのみ。USB充電器は付属していないので、もしお持ちでない方は用意する必要があります。

一方で、ケースの自然放電がやや多めなところは気になりました。使わなくても数日で10-20%くらい減っているイメージでしょうか。少し使わない期間があった場合は、使用する前にバッテリーの確認をおすすめします。

操作は公式アプリから

本機の操作は、基本的にすべてアプリから行う仕様です。一応イヤホン単体でも使える「Phone-Free Mode」も用意されていますが、タッチコントロール機能などもないため、アプリを前提にしたほうが良いと感じました。

アプリでは各サウンドの切り替えや新規サウンドのダウンロード、音量調整などといった基本的なコントロールをはじめ、電池残量の確認が行えます。再生してから一定時間で音楽をストップするスリープタイマーの設定もアプリから対応します。

機能のなかで気に入ったものがアラームです。同居人や複数人での旅行など、大きな音でアラームを鳴らしにくい場合があると思います。この機能では耳に装着したイヤホンからアラームを鳴らせるので、周囲からみたら無音、自分からは大音量アラームといったことが可能です。

アラームはプリセット登録ができるようになっていて、サウンドは4種類から選べます。毎週◯曜日といったリピート設定も可能なので、アラーム目的として有用だと感じました。

欲を言うなら、睡眠トラッキング機能も搭載してくれれば…、と感じます。今後の進化に期待といったところでしょうか。

ノイズマスキングサウンドの効果は?

本機の一番の特徴が、「ノイズマスキング」サウンドです。近ごろはノイズキャンセリングが流行ですが、ノイズマスキングはそれとは逆の仕組み。公式サイトにはサンプルも用意されています。

ノイズマスキングでは、イヤホンからあえてノイズを再生することで、外界の騒音を気にならなくさせてくれます。郵便物の宛名を隠すためのスタンプがあると思いますが、そのようなイメージでしょうか。

サウンドにはいくつかの種類があり、アプリから好みに応じて切り替えることが可能です。ノイズマスキングのほかに、「風景」と「静けさ」というジャンルも用意されており、それぞれ15種類ずつほど並んでいます。

サウンドのラインナップは、今後もソフトウェアアップデートで増えていくとのこと。お気に入りのBGMなどは登録できないのは注意が必要です。

曲の長さによりますが、1度に13曲ほどをインストール可能です。新しく追加する場合は、既存の曲を選んで削除する必要があります。新規サウンドのダウンロード時間は2-3分程度です。

個人的には、ノイズマスキングの中の「Rustle」というサウンドが気に入りました。心地よいノイズ感で、会話やいびきだけでなくエアコンの音なども気にならなくさせてくれます。

また、風景の中の「Window Seat」や「Rainforest」も愛用しています。ノイズマスキングではないので騒音を抑える効果はないのですが、雨の音でリラックスできるサウンドです。

サウンドは基本的にループ再生ですが、聴いている印象だとほとんどループ館は感じないです。一方で曲のようにリズムなどはないので、「音に集中して眠れない」といったこともありませんでした。

ずっと再生していると難聴が心配になりますが、アプリからは音量も調整できるので、外の音が気にならない&睡眠の邪魔にならないレベルまで下げて使うことがおすすめです。また先述のように一定時間で再生を止める設定も用意されています。

また、もともとイヤホンの遮音性が高いので、ノイズマスキングを流さなくてもある程度の騒音は抑えてくれます。静かな部屋で寝る際には、サウンドを流さず、そのまま装着するような使い方もアリだと思います。

まとめ

コロナ禍ということもあり、いまのところ外出先で試すことはできていないのですが、いびきでうるさい場合、外の音が騒がしい場合などに対処できそうです。今のところ自宅内での使用ですが、布団のカサカサ音など防げますし、アラームも役に立っています。

意外だったのが、テレワーク時の効果です。イヤホンで音楽を再生すると気が散りがちなのですが、本機をつけると思ったよりも集中できます。雨の音や滝の音などの環境音も用意されているので、そういった音の再生機としても使いやすいと感じました。

他社にはない唯一無二の製品ですので、やや高めですが、それだけの価値があると思います。気になった方は試してみてはいかがでしょうか。