ag「TWS04K」レビュー。完全ワイヤレスなのに有線級サウンド?

TWS04Kのイヤホンとケース

agの完全ワイヤレスイヤホン「AG-TWS04K」がふるさと納税の対象になったので、こちらを申し込んでみました。寄附額は30,000円、神奈川県川崎市の返礼品です。

普通に購入するとAmazonでも15,800円する品なので、とてもお得です。スマートフォンなどに付属するイヤホンよりも良い音質なので、完全ワイヤレスイヤホンに興味ある方やよく音楽を聴くかたは、返礼品の候補にいかがでしょうか。

高級オーディオブランドの完全ワイヤレスイヤホン

agは、オーディオブランド「final」を手掛けるfinal(SNEXTから変更)という会社による、完全ワイヤレスイヤホンのブランド。同社は40万円弱のヘッドホン「D8000」もリリースするなど、高級モデルも開発するメーカーです。

final監修のロゴ

そんなfinalですが、川崎に拠点があり、こちらに工場や研究所もあります。地元の特産品ということで、川崎市の返礼品として選ばれたのだと思います。

またブランド名のagは、「有り難き(めったにない)」という古語に由来しているとのこと。そしてKシリーズは “マニアのサブ機としてふさわしい音質を目指した” と説明しているように、音質面で気合いの入ったシリーズです。

3ヶ月使える大容量バッテリー

では開封していきましょう。まず蓋を開けると、やや大柄なケースと、コンパクトなイヤホン本体が印象的。箱の内側が水色になっていて、爽やかな印象です。

TWS04Kのパッケージング

充電ケースは革シボ仕上げとなっており、高級感があります。指紋もつきにくいとのことで、試しにべたべたと触ってみましたが、特にムラもできずきれいな状態をキープ。こういった仕上げは模様だけの場合も多いのですが、本機の場合はしっかりと合皮のようなものが貼ってあり、滑り止め効果があるのもポイントです。

TWS04Kのケースを手で持った様子

手で持ってみるとややずっしりしており、大きさ以上の重さを感じます。それもそのはず、本機のケースには2,600mAhの大容量バッテリーを搭載しています。

2,600mAhは、ちょっとしたモバイルバッテリーの容量です。スマートフォンなどに給電する機能も搭載しているので、もはやモバイルバッテリーそのもの。フル充電までは厳しい水準ですが、空のスマートフォンを半分くらいまで充電できる容量はあります。

TWS04Kの充電端子部

この大容量バッテリーにより、ケース併用で最大180時間の音楽再生が可能です。1日2時間使っても、約3ヶ月使えてしまうというわけです。

そして、イヤホンは小柄ながらも単体での再生時間は9時間と十分。ケースの充電端子にはUSB Type-Cを採用しますので、Androidスマートフォンのユーザーは充電ケーブルを使い回せます。

なおUSB Type-C端子を採用するモデルの中には、USB PDといった急速充電器では充電できないモデルも存在します。本機の場合はそういった充電器でも問題なく充電できましたので、相性によって充電できないという心配はなさそうです。

イヤホンはIPX7防水で“水洗い可能”

イヤホン本体は、IPX7の防水に対応します。IPX7とは、水深1メートルに30分間潜水させても問題ないということ。一般的な完全ワイヤレスイヤホンは小雨や汗に耐えられる水準のものが多いですが、本機は珍しいことに水洗いまで可能です。さすがに石鹸との組み合わせは危険ですが、身につけるものだけに、いつでも清潔を保てるのは嬉しいことです。

余談ですが、イヤホンは音を出る部分を完全に塞ぐことができないため、ここに防水フィルターを設置することで防水性をもたせることが一般的です。しかし防水フィルターは目が細かいため、通常のメッシュと比べると音に悪影響があります。同社では「音質への影響がほとんど無い防水機構」を開発することで、防水と音質を両立させているとのことです。

TWS04Kのイヤホン部

音質については、通常のイヤホンと同じようにアナログ的な部分に力が入れられています。当たり前のことだと思うかもしれませんが、完全ワイヤレスイヤホンでは小さな筐体に基板やアンテナ、バッテリーなど多くの要素を詰め込む必要があります。そのため、ソフトウェア的にイコライザーでチューニングが行われるケースも多いのです。

本機では「Bluetoothに起因する高音域の気になる部分のみ僅かにイコライザーで補正」しているとのこと。ハードウェア的にもともと良くないものは、ソフトウェアでごまかしても限界があります。オーディオの基本であるアナログ部分の音質を高めることで、“マニアのサブ機”になるような水準を目指しているわけです。

付属のイヤーピースにも注目

TWS04Kのもうひとつの特徴として、新設計のイヤーピース「TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様」があります。これは、すでにマニアからも定評がある同社の有線モデル用イヤーピース「TYPE E」から高さを抑えることで、完全ワイヤレスイヤホンのケースに収納できるようにしたモデルです。

TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様を並べた様子

サイズはSS/S/M/L/LLの5種類。多くのイヤホンではS/M/Lの3サイズが一般的かと思いますが、本機ではより耳にあったサイズが選べるようになっています。

イヤーピースが合わないと、低音がしっかりと聞こえなかったり、しっかりと遮音ができなかったり、音漏れしたりします。左右の耳でサイズが違う方も多いので、これは嬉しいポイントです。

TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様

イヤーピースの素材はシリコン製です。軸には「モッチリとした肉厚のシリコン」を採用することで、イヤホン本体にしっかりとフィットするとのこと。しばらく使っていると柔らかくなって取れやすいモデルもあったりするので、しっかりと固定できるのは好印象です。

実際にイヤホンを耳にはめて見た感想としては、圧迫感もあまりないながらも、しっかりと周囲の音を遮音できている感覚。遮音性はそこそこ高めです。2-3時間ほど連続で装着してみましたが、痛くなるようなこともありませんでした。

クリアなボーカルを楽しめるサウンド

音質については、GoogleのAndroidスマートフォン「Pixel 4」とペアリングして確かめてみました。口コミをみると「エージングが必要」という声が多かったので、Chord & Majorのエージングプログラムを1時間ほど走らせています。

今回はaptXで接続しましたが、このほかにもAACとSBCに対応していますので、iPhoneユーザーでも高音質なAACが利用できます。また音質とは関係ない部分ですが、接続時や起動時のアナウンス音声は少し大きめ。ケースから取り外して2-3秒後に流れるので、ゆっくりと装着すれば気にならないと思います。

TWS04Kとスマートフォン

音質はメーカーがアピールしているように、ボーカルのクリアさが持ち味です。特に女性ボーカルや、高めの男性ボーカルとの相性が良いという印象。Official髭男dism「Pretender」では演奏に声が埋もれず、伸びの良いボーカルを楽しめました。

高音域だけでなく、低音の表現も魅力的です。たとえばヨルシカ「盗作」では、バスドラムの深く響くリズムと、ボーカルsuisの透明感ある声がうまく同居している感覚。星野源「恋」ではベースラインもしっかり聴き取れ、なおかつボーカルが埋もれずにクリアです。

また無音時のホワイトノイズについては少なめの印象です。もちろん室内の無音時にはホワイトノイズを感じられます。しかし、RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」のような静めの曲であっても、再生中は気にならない水準だと感じました。

多くの曲との相性が良く、1台持っておけばジャンルに限らず音楽を楽しめるモデルだと感じました。

TWS04Kのケースを開けた状態

これだけ出来が良いと有線モデルと比較してしまいますが、同社の定番モデル「E2000」と比較すると、同じくらいの印象でしょうか。立体感や奥行きの定位に関しては有線に優位を感じますが、「完全ワイヤレスイヤホンでここまでいい音が出るんだな」という印象です。

あえていうなら、高音域はもう少し上まで伸びてほしいかなと。高めの女性ボーカルだと、少し上が詰まったような感覚で物足りなさはありますが、ここまで厳しく評価したくなるのは、この製品の完成度の高さゆえです。

今回はふるさと納税でお得に手に入れることができましたが、通常の15,800円という価格でも、十分納得のいく水準のモデルだと感じました。より高い値段ではより音質の良いモデルもありますが、この値段でこの音質は驚きです。

TWS04Kは現状でも十分すぎるほどの水準ですが、あくまで“マニアのサブ機”という位置づけの製品。“マニアのメイン機”としてさらに極めたモデルが出てきたら、どこまで凄いのだろうかと期待です。