夏本番を控え、気温が上がりつつあるこのごろ。メインPCでゲームを遊んでいたところ、発熱によるサーマルスロットリングを初体験。夏本番には耐えられないと思い、慌てて対策することにした。
今回購入したのは、長尾製作所のM.2 SSD用ヒートシンク「SS-M2S-HS01」。ヨドバシカメラで税込1,160円+ポイント10%という手頃な価格と、ネット上のレビューの良さからこの製品を選んだ。なお姉妹製品として、薄型タイプの「SS-M2S-HS02」もラインナップしている。見た目が気に入ったSS-M2S-HS02と悩んだが、放熱性がやや高いとのことでHS01を選んだ。
ところでサーマルスロットリングとは、パーツの温度が上がりすぎた場合に、故障を防ぐために性能を落として温度低下を図る機能。SSDだけでなく、CPUなどにも用いられる。
SSDにおいては、調べたところ70度でサーマルスロットリングが動作する製品が多いとのこと。筆者が使っているCrucial「P1」というモデルも、70度を下回った段階で正常に動くようになった。
そしてこのP1は、M.2という接続端子でマザーボードに直接固定するタイプのSSD。サイズが小さい上にチップが表面に露出しているため、そもそもSSD自体の放熱性も悪かったりする。
加えてP1は、従来のSATAではなく、NVMeという高速規格で動作する。メーカー公称値では、書込2,000MB/s、読込1,750MB/sと高速転送が可能だ。さらに高速のモデルも存在するが、これでも500MB/s前後が多いSATA接続と比較して約4倍の速度となる。
一方で速度とのトレードオフとして、発熱が大きいという問題がある。先述した放熱性の悪さも加わり、サーマルスロットリングが起きやすいといえる。
なお近年ではSSDの制御の影響か、対策しなくても問題ない製品も多いとのこと。P1でも発熱しにくいというレビューも見かけるが、筆者が使っているPCはmini-ITXのコンパクトなタイプなので、温度の上がりやすい小型PCでは厳しいのだろう。
ここでようやく本題、購入したヒートシンクの話題に戻ろう。SS-M2S-HS01は、1.5mm厚のアルミニウムをテープで固定して放熱するというシンプルな仕組み。アルミニウムだけだとSSDの凹凸で隙間がうまれるため、熱伝導率の高い「超低硬度放熱シリコーンパッド」を間に挟むようになっている。
また、固定用のテープは絶縁の「耐熱絶縁ポリイミドテープ」となっており、剥がして再度の利用も可能とのこと。筆者は不要になったら売ることが多いので、印字などが剥がれにくい仕様も嬉しい。
実際に装着作業を開始すると、テープで固定するというシンプルな構造の恩恵か、ケースを開けてから装着して閉じるまでに10分もかからなかった。この程度の手間で冷却を強化できるのであれば、先送りにせずにもっと早く付けておけばよかった。
肝心の温度については満足できる数字で、その効果を実感できた。ケースはフラクタルデザインのNode202、冷却はNoctuaのトップロー型CPUクーラー「NH-L9i」のみという厳しい条件において、高負荷時で約5度低下。高負荷時については、Rainbow Six Siegeを一定時間プレイして頭打ちになった温度を使用している。
とはいえ、ケースのなかの空気の流れが悪く、アイドル時には差が出なかった。高負荷時で効果が出たのは、CPUクーラーのファンが高回転で回ることにより風が動くからではないかと思われる。今後はファンを増設したりして、さらなる冷却も狙ってみたい。
初めてのSSD甩ヒートシンクだったため、他の製品と比較はできないが、初心者でも簡単に装着でき、効果も体感することができた。SSD用のヒートシンクは他にも良さそうな製品はいくつもあるが、SS-M2S-HS01は1,000円程度で買える手頃さも魅力だ。
SSDは温度が上がるとデータ保持率が下がり、データの一部が破壊されたり、故障しやすくなると聞く。現状では使っていない方も、温度が低いにこしたことは無いのだから、機会があれば装着してみてもいいと思う。