「Oculus Quest」購入レビュー。手軽にVR体験、もっと早く買えばよかった

ここ数年間、VRヘッドセットを購入しようか迷っていましたが、家で楽しめる娯楽を増やしたいということもあり、つい先日、「Oculus Quest」を購入してしまいました。

Oculus Questの大きな特徴は、「PCなしでもVRを楽しめる」ということ。そして「PCなしで使えるのに6DoFに対応している」ことです。

単体で使用できるスタンドアローンのVRヘッドセットはこれまでもありましたが、いずれも3DoFのみ。3DoFとは頭の回転のみのトラッキングで、6DoFになると移動にも対応します。映像を見るだけなら3DoFで十分ですが、空間の中で動くような体験は6DoFの醍醐味です。

なお3DoFのVRヘッドセットは、スマートフォンをはめて使うようなタイプ(Google Cardbord/Google Daydream/Gear VRなど)から、Oculus Goといった単体機が存在します。スマホを使うタイプは100均で購入できるものから、Oculus Goは2万円など比較的低価格です。

一方6DoFになると、4-5万円で購入できるWindows MRをはじめ、Oculus Rift S、10万円を超えるVive Cosmos Elite、Vive Pro、Valve indexなどが存在します。しかもこれ単体で使えるわけではなく、10-30万円ほどのゲーミングPCが必要ですし、PCとケーブルで常時接続する必要があります。

今回購入したOculus Questはどうかと言うと、6DoFに対応しながらも単体で遊ぶことが可能です。しかも、値段は64GBで約5万円、128GBで約6.3万円。PCに接続するタイプと比較しても高くない価格ながらも、SoCやメモリ、ストレージなどを積んでいるので、コスパは高いと思います。

個人的に嬉しいのが、PCと接続するタイプのVRヘッドセットとしても使用できるということ。ベータ版ですが「Oculus Link」という機能を使うことで実現でき、接続も1,000円程度で購入できるUSBケーブルを繋げるだけと手軽です。多くのPC接続型はHDMIとUSBの2本などが必要ななか、USBケーブルだけで完結するというのは、PC用VRとしてもポイント高いと感じます。

これだけ充実していると人気があるようで、昨年に発売したモデルながらも、未だに品切れが相次いでいます。また日本では流通の関係からか、購入できるのは公式オンラインストアとAmazonのみ。Amazonでは予約ができますが入手できるのは先、公式オンラインストアでは常時品切れ状態と、どちらも手軽には買いづらいです。

今回購入を決めたのは4月のなかばでしたが、Amazonでは6月1日の入荷、公式ストアは在庫なしで、しばらく手に入らないと諦めていました。しかし、3月21日に1公式で入荷しているのを発見。狙っていたのは64GBモデルでしたが、すぐ手に入れたいこともあり、やや高い128GBモデルを即決しました。

Oculus公式ストアで購入した製品は香港から送られてくるようです。2日後の3月23日にはFedexで発送され、さらに2日後の3月25日には手元に届きました。この速度であれば、国内発送でなくても良いかな。もし注文する場合は、住所と氏名は英語で入力する必要があるのでご注意ください(サイトは日本語なのでまぎらわしい)。参考までに、トラッキング情報を下記に貼っておきます。最終的にはヤマト運輸に引き渡され、25日の午前中には配達完了でした。

使用した感想ですが、想像以上に単体でVRを楽しめて驚いています。ドット間の格子が気になってしまうスクリーンドア効果(SDF)についても、個人的にはあまり気になりません。有機EL(OLED)のペンタイル配列なので、通常のRGBストライプ配列などと比べるとサブピクセル数が少ないのですが、2,880×1,600の解像度とレンズ設計の工夫によるものだと思います。

現行のVRヘッドセットだと液晶(LCD)採用のモデルが多いのですが、個人的には有機ELを推したいです。採用が少ないのは、ペンタイル配列だとSDEが起きやすいからでしょうか。とはいえ、やはり色の発色が良いこと、そしてVRは視界がブラックアウトする場面も多いため、コントラストが高いことで全暗黒が楽しめます。表示リフレッシュレートが72Hzなのであまり恩恵がないかもしれないですが、デバイス的には有機ELのほうが遅延が少ないので、有機ELのゲーミングモニターに注目が集まっているように、今後は有機ELモデルも増えていくかもしれません。

処理性能については、スマホ用のSoCであるSnapdragon 835を搭載しています。少し前のハイエンドスマートフォンにも搭載していたものですが、VRを動作可能な性能があるのだと驚きました。描画負荷を下げるために表示周辺部はレンダリング解像度などを下げているようですが、人間の眼は中央以外は解像度が低いのであまり気になりません。意図的に見るとわかってしまいますが、この点については良いアイデアだなと感じました。

とはいえ、処理不足を感じる場面も多々あります。主にBeatSaberをよくプレイするのですが、体ごと避けなければならない障害物(名前はわからない)が飛んでくる際は、若干のカクつきを感じます。またこの際に、コントローラー(Oculus Touch)のハプティック振動がやや弱くなるのも気になります。あと後ほどPCでVRを試して気がついたのですが、テクスチャ解像度を下げたり、簡略化させたりなど、Oculus Quest用ソフトは動作させるために工夫されているようです。

もちろんOculus Linkを使用してPCでVR表示させたほうが画質は良いのですが、個人的には、やはりケーブルが気になりました。Half-life AlyxなどPCでしか用意されていない重いタイトルは別ですが、ことBeatSaberにおいては、ケーブルのない快適性に代わるものはないと思います。

まだまだ使用して数週間しか経っていないですが、ここまで「買ってよかった」と思えるデバイスは久しぶりに感じました。VRはこれからますます流行っていくジャンルだと思います。すでにソフトも揃ってきているので、足踏みしていた方はぜひ試してみてください。「単体で使える快適さ」と「PCでも使える汎用性」を備えたOculus Questは、自分のようなVR初心者にうってつけの製品だと思います。