ゲーミングPCというと、大きいというイメージになりがちです。しかし、自作PC用のケースを探してみたところ、ゲーム機より少し大きいくらいでゲーミングPCが作れそうなケースを見つけました。
それが、SilverStoneというメーカーの「ML09」というケース。寸法は横350×高さ99×奥行205mmというコンパクトサイズで、容量は7Lと、PCケースとしても最小クラスのモデルです。
一般的なデスクトップPCのマザーボードには、ATXもしくはmicroATXという規格が使われるのですが、ML09ではmini ITXというコンパクトPC向けの小型マザーボードも使用します。また電源についても、通常のATX電源ではなくSFX電源という小型のものを使うなど、パーツに求められる条件は厳しめです。
今回、グラフィックカードにはmsi「GeForce GTX 1650 4GT LP」を使用しました。これは基板の高さが64mmに制限されたロープロファイル仕様のもので、通常のグラフィックカードよりもかなり小型サイズ。自作PCには全くといっていいほど使われず、主に縦置きのスリムケースに用いられる規格です。
GTX 1650なので、フルHDであれば軽いゲームなら快適に動かせます。4GBの専用メモリを備えている点、排熱が有利な点など、やはりAPUやCPUの内蔵グラフィックスとは違います。HD設定など解像度を下げる必要はありますが、最低設定ならBattle Field Vといった重いゲームであっても動かせますし、小さく安いながらもなかなかのハイパワーです。
一つ不満があったのは、ゲームを起動するとうるさくなること。ファンの口径が小さいため、排熱のために回転数を上げる必要があるほか、シュイーンといった高音ノイズになってしまいます。さすがにドライヤーとまではいかないですが、かなりの轟音で、机の上にPCを設置するのは厳しいレベルです。
これはゲーミングヘッドセットを装着すると和らぎますが、小さい物音を聞き分ける際には邪魔になります。ガッツリとゲームをやる方であれば、やはりロープロファイルは厳しいのではと感じました。逆に少しゲームをやりたいくらいの方であれば、性能的にはそこそこあるので、ケースが小型になるメリットのほうが魅力的です。
また、小型ケースならでは悩みもあります。写真でおわかりいただけると思いますが、配線をするスペースに余裕がなく、組み立てが大変なことです。細かい空間にパーツを配置したうえで、さらに配線で繋げなければならないため、パズルのような難しさを感じます。
これはmini ITX対応ケース全般にいえることで、やはりケースが小さければ小さいほど、組み立ての難易度が上がる傾向にあります。小型ケースは作るのに試行錯誤があり面白いのですが、自作PC初心者へ積極的に勧められるかというと、そうではありません。
とはいえ、このサイズでこの性能は魅力的。それにBDレコーダーのような横置きのサイズなので、棚の中にも入れられます。PCっぽくないケースが欲しい方、あまりゲームをしないけどゲームできる性能が欲しい方など、ほかにはない魅力を秘めたケースです。