今年8月にLeicaから、デジタルカメラのエントリーモデル「M-E (Typ 240)」が発売されました。全世界で700台という限定モデルで、国内の販売価格は54万円(税込)。100万円近いモデルを送り出す同社からすると、“お手頃”ともいえるエントリーモデルです。
エントリーモデルといっても、その作りへのこだわりは、他のモデルと変わりません。しかも、このモデルのための特別色「アンスラサイトグレー」まで用意されています。
なぜ安くできたのかというと、おそらく2013年発売の旧モデル「M(typ240)」をベースにしているから。最新モデル「M10」と比べると性能面では劣りますが、それでも1つ前の最上位モデルです。細部の作り込みや重厚感など、日本のカメラメーカーにはない、プレミアムな作りが堪能できる品となっています。
そんなM-E (Typ 240)ですが、初日に予約終了となったものの、幸いにも購入することができました。購入記念も兼ねて、開封から製品のディテールまで、写真でお伝えしたいと思います。
まずは開封
化粧箱は、ほかの同社製品と同様のデザインを採用しています。箱の大きさはとても大きく、そして重いです。
箱を開封すると、一番上にカメラ本体が鎮座しています。スポンジは製品に合わせてくり抜かれ、しっかりとはめられています。
付属品も見ていきましょう。本体の下は引き出しになっていて、それぞれのアクセサリーが収められています。アクセサリーを展開した様子が上記の写真です。
付属品は、バッテリー、充電器、充電器用の電源ケーブル(日本用/海外用/シガーソケット)、ストラップです。電池やチャージャーなどはロゴ付きのポーチに入っているなど、コストのかかった仕様です。
引き出しの一番下には、各種マニュアル類が入っていました。おそらく箱が重い原因はこれでしょう。日本語の取扱説明書だけでなく、外国語のものや保証書など、多種多様です。
M-E (Typ 240)のカメラ本体
では、カメラ本体をを正面から見ていきましょう。本体色は先述のようにアンスラサイトグレーで、このモデルのために作られた特別色です。クロームではなくペイントなので、使っていくうちに角が削れ、その下から真鍮が現れていくはずです。
さらに既存のペイントとも異なり、セラミックのトップコートを省いているとのこと。他のモデルと比較すると、早い段階で真鍮が露出し、味のあるボディになってくれそうです。
本体の底面にはカバーが施されていて、フィルムカメラのような佇まいです。一般的なデジタルカメラには必ずあるバッテリースロットや端子類、メディアスロットなども外からは見えません。
また、M型ライカのユーザーには馴染み深いらしいのですが、底面カバーの表面にはプラスチックのフィルムが貼り付けてあります。底面はカメラを置いた際に傷が付きやすいので、その対策として効果があると思うのですが、剥がれたときにはどうすればよいのでしょうか。カバー単体でも数万円するので雑に扱えませんし、しかも限定色なのでいつまで手に入るか分からない心配もあります。ケースを購入してもいいかなと感じました。
底面カバーをあけると、中にはバッテリーとSDカードを収納できる部分があります。カバーの内側にはしっかりとシーリングが施されているので、水や塵に対しても安心。そのほかに端子もあるのですが、これはメンテナンス用らしく、USBでPCと接続といったことはできないようです。
本機はフルサイズのCMOSセンサーを搭載していて、解像度は2,400万画素です。オートフォーカスに対応しないカメラなので、マウントには金属接点がありません。とはいえ6bitコードという仕組みがあり、マウント右下の窓から(おそらくフォトカプラで)情報を読み取り、純正レンズを識別します。つまり純正レンズであれば、Exifにレンズ情報が記録できるわけです。
マウントの内側を除いてみると、距離系連動用のレバーのほか、シャッター幕が確認できました。フォーカルプレーンシャッターの膜は黒が多い印象ですが、グラデーションになっていて面白いです。
本機はミラーレスカメラですが、レンジファインダーなので、常にライブビューで撮影するわけではありません。そのため、CMOSは基本的にシャッター幕で保護されているという安心感もあります。背面には画面を搭載して、ライブビューモードや動画機能も備えているので、一般的なミラーレスカメラのように使うことも可能です。
一般的なカメラのグリップにはシボ加工のゴムが使われることが多いですが、本機の場合には本皮が使用されています。手作業で貼り付けられているようです。
手作業といえば、本体の金属部分についても、人の手で磨かれているそうです。今回がはじめてのライカ製品なので分からないのですが、形状に若干の個体差があるとのこと。いずれほかのM-E(Typ240)ユーザーと暗いべてみたいですね。
上面の操作系に関しては、シャッタースピードダイヤルと電源スイッチ、シャッターボタンのみです。親指のあたる部分にコマンドダイヤルが配置されていて、ここからISO感度などが調整できます。絞りはレンズに絞り環がついているので、そこから調整します。
いずれのダイヤルもアルミ削り出しとなり、安っぽさを感じさせません。やはり本体が高いだけあって、細部を見ているだけでもほれぼれとしてしまう仕上がりです。
また、電源スイッチがレリーズモードの切り替えも兼ねています。Sはシングルショット、Cは連写、Bがバルブです。わかりやすいインターフェースなのですが、たまにシングルのつもりが連写になっていることがあります。最新モデルのM10ではオンオフのみになっているので、不満の声が多かったのでしょうか。コストはあまり掛からないと思うので、この部分くらいは改善してほしかったと思います。
とはいえ、購入したことに非常に満足しています。今回は外観について見ていきましたが、外観だけでなく、撮影してみると“写真を楽しく”撮らせるというフィーリングへの配慮を感じています。
やはり実際に手にしてみると、印象が変わるものです。「いつかはライカ」と思っていましたが、そう感じさせるだけの何かが少しわかった気がします。本記事では外観から仕上がりやデザインに迫ってみましたが、いかがでしょうか。本機の魅力が少しでも伝わってくれると良いなと思います。