Eureka「Mignon Specialita」は小さいのにパワフルなグラインダー

エスプレッソにも使えるコンパクトなコーヒーグラインダー、Eureka「mignon specialita」を購入しました。すでに別記事で購入の報告をさせていただいたのですが、送料などを含めても約5万円という、この手の製品にしては手頃なモデルです。

Eureka(エウレカ)は、1920年に設立されたイタリアのメーカー。最新技術と伝統を生かしたグラインダーを開発し、製品はフィレンツェの工場において、手作業で組み立てているといいます。

製品ラインナップとしては、Olympus(オリンパス)、Helios(ヘリオス)、Zenith(ゼニス)、Atom(アトム)などが用意されています。今回購入したMignon(ミニヨン)は、フランス語でかわいいという意味の通り、同社で最も小さくコンパクトなモデル。SNSでユーザーを見ていると、Mignonと、その上位にあたるAtomが人気でしょうか。

また、Mignonにもいくつかの種類があります。数が多いのですが、エスプレッソ用モデルとしてSpecialita、Perfetto、Silenzio、Manuale、Classico、Design、ドリップ用モデルとして、Filtro、Crono、Brew Proがラインナップされています。

小さいながらも高機能&高スペック

今回購入したSpecialitaは、そのうちの最上位といえるモデルです。

Mignonシリーズのグラインド刃には、焼入鋼素材のフラット刃を採用するのですが、モデルごとに55mmと50mmの違いがあります。基本的に大きいほうが素早くグラインドできるため、高級モデルでは大きくなる傾向がありますが、Specialitaは55mmを搭載しています。ちなみに、グラインダーとして定番のMazzer Miniは58mmなので、Mignonは小さいながらも、大きい刃を搭載していることがわかります。

また、Specialitaはディスプレイを備えていて、グラインドする秒数を設定したり、グラインド中は残り秒数を表示したりできます。時間の設定はタッチパネルの+/-から0.1秒単位で行えるため、操作方法も直感的。1杯用と2杯用のそれぞれで設定することも可能で、電源を元から切っても数値は維持されます。

おしゃれなデザインだけど堅牢性には不満も

筆者が今回、Mingnon Specialitaを選んだ理由は、「小さい」ことと「デザイン」でした。本機の寸法は、幅120×高さ350×奥行き180mmで、重さは5.6kgです。Mazzer miniと並べてみると、その小ささが一目瞭然。ここまでの差がありながら、上述のように、55mmのフラット刃を搭載していることが魅力でした。

また、おしゃれなデザインも気に入っているポイントです。今回選んだのはシンプルなマットブラックですが、カラフルなオレンジやイエロー、ピンクゴールドといった色まで、全29色が用意されています。ここまで用意されているモデルも少ないため、インテリア目的でのチョイスも良さそうです。

なお、買ってからわかった部分ですが、造りについては圧倒的にMazzer Miniのほうが上。たとえば、前面や天面など銀色部分は、金属製ではなくプラスチックでした。値段的にしかたない部分かと思いますが、高級感に影響するだけに、金属を使ってほしかったものです。

右下の部分に小さい傷がついてしまいまいした

また本体はアルミ素材なのですが、塗装というよりフィルムを張っている印象。軽くぶつけてしまっただけで、すぐにその部分に傷ができ、下地が見えてしまいました。Mazzer Miniをはじめ、半業務用のマシンは堅牢性の高いモデルが多いため、このあたりは、やはり家庭用なのだと実感してしまう部分です。

とはいえ、この小ささとデザインのおしゃれさは大きなメリット。セミコマクラスでエスプレッソマシンを一式揃えると、かなりの場所を占領してしまいますが、Mignon Specialitaであればコンパクトにまとめられます。

やはり快適な「ドーサーレス」

これまで筆者はMazzer Miniを愛用していたのですが、乗り換えを決めた理由が「ドーサーレス」への憧れです。挽いた豆をストックするドーサーは、何杯も抽出する場合は便利なのですが、自宅で1杯飲むような場合はかえって邪魔になります。

ドーサーレスでは、ポルタフィルターにそのままグラインドした粉が落ちてくれるので、そのままタンピングして抽出というスムーズな流れが可能です。本体前面にあるスイッチをポルタフィルターで押すことで、グラインドが開始されます。

Mignon Specialitaでは、フォーク状のプレートの上にポルタフィルターを置くだけで、排出口の下のある突起にひっかかるため、グラインド中は手を離していても大丈夫。プレートの高さはネジで上下してうまく固定される角度で調整できるため、メーカーによる互換性もあります。

グラインド品質はMazzer Miniに叶わず

肝心なグラインドの品質ですが、率直に書くと、Mazzer Miniよりは劣るという感覚です。見た目は同じ粒度にみえるものの、Mignon Specialitaで抽出したもののほうが、Mazzer Miniよりもお湯の通りが悪いです。結果、Mazzer Miniのほうが、一段回細かくても抽出できるので、より濃厚なエスプレッソが抽出できます。おそらく、Mazzer Miniは、より均一に挽けるのでしょう。

グラインド品質に関係ないかもしれませんが、豆の粒度の調整についてもMazzer Miniのほうが有利だと思います。Mignon Specialitaでも無段階で調整ができますが、ダイヤルが小さく固いため、微調整が難しいです。Mazzer Miniであれば、コンコンとレバーを叩けばミリ単位で調整できるので、こういった調整単位の細かさも、最終的に追い込めるカップ品質にも影響してくるといえます。

かといって、Mazzer Miniがすべて優れているかというとそうではなく、グラインド中の静音性・低振動性については、圧倒的にMignon Specialitaが勝ります。エスプレッソを抽出する以上は味を求めたいところですが、夜の帰宅後に抽出するのであれば、騒音になるMazzer Miniよりも、Mignon Specialitaを使いたいと感じました。

また、Mignon Specialitaは、エスプレッソ用のグラインダーとしては珍しく、ドリップやフレンチプレス用の粒度にも対応します。挽いた豆はなにか容器に入れる必要がありますが、ディスプレイにグラインド開始のボタンがないため、少しやりづらいです。別売で、前面に取り付ける容器が用意されているので、こちらを使ったほうがいいと思います。もっとも、エスプレッソ用の粒度設定が崩れてしまうので、エスプレッソとドリップの両用は現実的ではないかもしれません。

今回は、Mazzer MiniからMignon Specialitaへの入れ替えという、ある意味ランクダウンの買い物といえます。しかし、結果的には買って満足です。

グラインド品質だけみると、Mazzer Mini低下してしまいましたが、一方で困っていた置き場所が小さくなり、また騒音が抑えられたので夜でも気にせず飲めるようになりました。

味だけを求めると上のモデルばかり気になるものですが、やはり自分の環境におけるニーズと使い勝手は大切。コンパクトな筐体からは想像もできないほど高性能なモデルとして、EurekaのMignon Specialitaは、まさに “ちょうどいい” と感じるグラインダーです。