海外仕様のエスプレッソマシンには、110Vのモデルと、230Vのモデルがあります。
もちろん、230Vモデルは昇圧トランスなどで昇圧をしなければ、日本で使えません。しかし110Vモデルでは、大抵の場合はコンセントにさすと、そのまま使うことができます。
110V仕様の機械を100Vで駆動すると、動作は問題ないかもしれません。しかしエスプレッソマシンのように熱を扱う機会の場合、発熱能力が低下するのではないかと想定できます。
私はRancilio Silviaを使用していた際、インターネットで「昇圧機を使うと性能が上がる」という情報を見つけ、購入し、使ってきました。その時見つけた投稿を下記に引用します。
・100V時→起動時間:4分47秒 スチームスタンバイ:2分56秒
http://tonkatsu.boo.jp/silvia/silvia.html
・115V時→起動時間:3分19秒 スチームスタンバイ:1分49秒
Rancilio Silviaはボイラーが小さいので、昇圧を行わなくとも起動時間はかなり短く、実用には困りません。しかし問題になってくるのがスチームです。
シングルボイラーであるため、抽出用の温度からスチーム用の温度に切り替える必要があります。この時間が短くなるに越したことはありません。
したがって、この “1分も短縮される” という情報を見つけた直後、すぐ昇圧トランスを購入したのでした。
価格は1万円ほど。そこまで大きくはありませんが、金属の塊なのでかなりの重さがあります。日本製なので信頼性もばっちりです。
電圧は115Vで、1500Wまでの出力に対応しています。エスプレッソマシンはかなり電力を使うので、購入される際はこの数値に気をつけたほうが吉です。
また先ほどから「110Vモデル」と表現していましたが、いわばアメリカ仕様です。アメリカでは110〜120Vなど地域によって若干異なるので、それで使えるように設計されているため、115Vへ昇圧しても特に問題はありません。
さて、昇圧トランスを購入したわけですが、特に体感では大きな違いは感じられませんでした。意外に1,2分というのはあっという間で、これくらいの差だと、実感がわかなかったのです。
時間を測ればよかったのですが、“昇圧して使っている” ということで満足してしまい、結局はからずじまい。ということで、今回の本題に入ります。
現在使用しているエスプレッソマシンは、Rocket「Mozzafiato Evolutione R」です。シルビアから買い替えてしまい、別のマシンではありますが、実際に測ってみることにしました。
まず結果を以下に示します。冷めるまで時間をおいたものの、気温の影響もあり、完全に同じ条件でないことはご了承ください。
- 昇圧あり 23度→120度 10分
- 昇圧なし 28度→120度 12分
秒単位で測っていないため、おおまかなデータですが、約1-2割の性能向上があることがわかりました。電圧が1.5割向上しているので、電圧分がそのまま性能向上につながったのでしょうか。
私の環境では、先代のシルビアが昇圧機でどのように変化したか、もう測ることはできません。しかし大雑把ですが今回の測定で、時間短縮に繋がることはわかりました。
昇圧によって加熱能力は上がりましたが、そのほかは特に変わらずでした。ポンプからの吐出量やモーターの回転速度は周波数(Hz)に影響される要素なので、電圧では変わりません。モーターなどで電圧が影響するのはトルクになるので、回転系の部品は昇圧の効果は体感できなさそうです。
若干の時間短縮のために昇圧トランスに1万円程度出すのは…と思う方も多いでしょうし、一方で少しでも早くなるなら…と思う方もいるかと思います。
個人的には持っているから使用しているのという状況です。起動の際には、ボイラーを暖めるだけではなく、機械全体に熱をまわしたいので、30分程度は放置します。そのため若干の時間短縮は、あまり大きなメリットに感じません。
したがって最近は、昇圧トランスを使わずに配線をスッキリさせるのもいいな、なんて考えていたりします。