初めてのエスプレッソマシン、おすすめはデロンギ「EC152」

もしエスプレッソマシンがほしいと感じているなら、もっとも初心者におすすめなのは、デロンギ「EC152J」だと思う。筆者は10万円ほどの高級モデルを使っているが、価格ほどの差はないと思うほどのコストパフォーマンスの良さだ。

すでに手放してしまっているのだが、筆者はEC152Jを2013年の11月13日に購入した。私が初めて買ったエスプレッソマシンで、思い返すととても感慨深い。

EC152Jのコスパが良い理由

改めて念を押しておきたいのが、「EC152Jは2018年2月現在のエスプレッソマシンの中で最上位クラスのコスパを誇る」と個人的に感じるということ。同モデルは、デロンギのマシンの現在のラインナップで最下位になるが、上位モデルと基本性能は、ほとんど同じなのだ。

同社のラインナップを安い順に並べていくと

  • EC152J
  • EC221
  • ES020L-WH
  • ECO310
  • EC680M
  • EC860M

となっていくのだが、基本的にECO310までは中身は同じで、違いは外観のみ。EC152Jと比較すると1-2万円の差額があるが、その分は外装にかかるコストだろう。つまり、この4モデルは見た目で決めて良いと思う。基本性能だけならEC152Jで十分だ。

またEC680Mと860Mは、水をお湯に変える部分にボイラーではなくサーモブロックを採用している。サーモブロックのほうが加熱速度が早いという特徴があるが、エスプレッソの味に大きな違いはない。もちろん価格なりに、ボタンを押すだけで自動的に1-2杯分で抽出を止めるなど多機能だし、860Mにいたっては自動ミルク泡立て機能も搭載している。

個人的にはコスパの高いEC152Jか、スリムで置き場所に困らないし多機能なEC680Mがおすすめだ。

注意したいのが、EC152Jは本体の高さが低いぶん、マグカップなどが抽出口に入らないという点。水受けの部分を外せば使うことは可能だが、基本的にはショットグラスやエスプレッソカップ、カプチーノカップなど低いカップで使うことになる。日常的にマグカップを使いたいならEC221以上のモデルをおすすめしたい。

なぜEC152Jで十分?

なぜEC152Jでも十分なのかという理由についてもお伝えしよう。基本的にエスプレッソマシンは、

  • 水タンク
  • ポンプ
  • ボイラー
  • グループヘッド(ポルタフィルタをはめるところ)
  • ポルタフィルタ&バスケット(粉を固めていれるところ)
  • スチームノズル

といった要素で構成されている。コンピューターの有無やボイラーの個数といった違いはあるが、この構造は、家庭用でも業務用でも大きくは変わらない。

美味しいエスプレッソを作るために必要な条件は、9気圧の抽出と90度という温度。デロンギのEC152Jであっても、100万を超えるようなモデルであっても、この条件で抽出できるように設計されている。このため、基本的なエスプレッソ抽出に限って言えば、EC152Jでも必要十分だといえる。

高級モデルと家庭用の差

 この9気圧の圧力を生み出すのがポンプだが、基本的にはULKA社のバイブレーションポンプ(振動ポンプ)が使われている。1万円のEC152Jでも、10万円の高級機でも、ほぼ同じ型番のポンプが使われている。さすがに業務用はロータリーポンプという高級なものだが、これは数十万円の半業務用クラスでようやく搭載されるレベルだ。

もう1つエスプレッソマシンで重要な要素がボイラー。大きければ大きいほど、エスプレッソを抽出する際の温度の安定性に影響する。値段が上がるほど大きくなっていく場合が多いが、EC152Jでも美味しいエスプレッソは作れる。

温度はよりシビアに抽出していくなら重要な要素だが、マシンよりも豆の質のほうが味への影響は大きい。マシンだけにお金を費やすのではなく、良い豆を使ったほうがいいと思う。また、グラインダーの質も抽出に影響する。一節にはマシンよりもグラインダーのほうが高いモデルを使ったほうがいいと言われるくらいだ。個人的には、初心者にはデロンギの「KG366J」をおすすめしたい。

なおスチーミングに関しては、ボイラーの大きさがスチームのパワーや持続性に影響する。ラテアートに力を入れる場合は、いずれ大きいボイラーが欲しくなるかもしれない。ただし、筆者は“家庭用最上級機”と呼ばれるランチリオの「シルビア」を使用しているが、スチームと抽出の切り替え時間が長く、気軽にスチームが使いづらい。こういった面からも、EC152Jのボイラーはバランスが良いのだと改めて感じた次第だ。

ほかにも高級なエスプレッソマシンには、3方向バルブやPID制御、ダブルボイラーなどといった要素もあるが、これは10-30万以上クラスで気になってくるはなし。

ということで、デロンギのEC152Jは、基本的でしっかりとした構造を持ちながらも、10,000円以下という値段で買える点が素晴らしいと思う。

もしいずれランクアップする場合も、このマシンを基準に、そこから機能が増えたり、ボイラーが大きくなったりなどの具合なので、指標としてもわかりやすい。

 もしエスプレッソを始めてみたいと思うのであれば、全力で推薦したい。コスパは一番良いはずだ。