【レビュー】エスプレッソマシン「Rancilio Silvia」についての記憶

Silviaは金属製で質感もよく、所有感も満たせる素敵なマシンだ

Rancilioのエスプレッソマシン「Silvia」について、レビューをしたい。より上位のモデルに買い替えてしまったため、すでに手元にはないが、記憶を頼りに書き連ねていく。製品の概要から使用してわかったことなど、購入検討の参考になると嬉しい。

高級エスプレッソマシンの定番機種

エスプレッソについてのめり込んでいくと、より上級機のエスプレッソマシンにステップアップしていく人も多い。僕もそのパターンで、最初デロンギ「EC152」に手を出したあと、いつしかあるマシンに憧れるようになっていた。

それが「Silvia」(シルビア)というエスプレッソマシンだ。この機種はたびたび紹介されているような有名なマシンで、まさしく超定番といえるような機種。この記事にたどり着いた方も、そういったかたちで紹介されている記事を見たことは少なくないのではないだろうか。

Silviaは、1927年にイタリアで創業したRancilio(ランチリオ)という歴史あるメーカーのもの。調べたところによると、Silvia自体は1997年に生まれたという。最初は販売をしておらず、業者へのプレゼントとして作られていたらしいが、現在は家庭用の定番機種になっているらしい。

そのような経緯もあってか、コーヒーの粉を詰める部分(ポルタフィルター)はカフェで使われるような業務用モデルと同じもの。耐久性を考え、筐体ものステンレスなどの金属が多用されており、家庭用のマシンとは一線を画するような高級感と所有感がある。

シンプルなシングルボイラーモデル

基本的な構造としては、デロンギなどの家庭用モデルと同じシングルボイラー。そのためエスプレッソとスチームは同時にできず追い焚きをする必要があるし、ポンプはほぼ同様の振動ポンプ(バイブレーションポンプ)を使用しているため、抽出時の音も同じといえる(むしろ金属製のため共振で音は大きい)。

とはいえ先述したように作りは比べ物にならないため、何回りも上級機といった感がある。また後述するが三方向バルブの搭載と大型のボイラーにより、基礎スペックも高いことは確かだ。

またシングルボイラーは1つのボイラーしかもっていないため、より上位モデルに多いHX(熱交換)やダブルボイラーでは可能なエスプレッソ抽出とスチーミングを同時にできない。ボイラーの温度変更が必要なため、その都度温め直す必要があるため、手間は否めない。もちろんシングルボイラーにもメリットがあり、それはシンプルであること。シンプルであるため故障しづらく、故障しても修理しやすいのだ。

Silviaのボイラーサイズは300mL。基本的にはこの容量が大きければ大きいほど、スチームのパワーは向上し、抽出時には温度の安定性も向上する。おそらくデロンギなどの100mL以下が多いのでざっと3倍以上といえる。しかしデメリットもあり、温める水の量が増えるため、起動時間(予熱時間)も長くなってしまう。基本的に上位モデルになればなるほどこのボイラーが大きくなり、連続抽出に耐える必要のある業務用ではリットル単位が普通だったりもするのだが。

そして家庭用と異なるのが、三方向バルブという部品の搭載。これは抽出終了時に圧力を逃がす役目があり、これがあることで抽出後にすぐポルタフィルターを取り外すことができる。これがないとどうなるかというと、抽出してすぐポルタフィルターを取り外した場合、内部に圧力が残っていると、爆発するように周囲にコーヒー粉を飛ばしてしまい危険だ。

また冒頭でも記述した業務用のポルタフィルターという部分も嬉しい。コーヒーバスケットが51mmを採用するデロンギなどのモデルと違って、業務用を含めたSilvia以上の上位機のほとんどが採用する58mmのバスケットになっているため、将来的にもタンパーを買い換えないですむ。そしてタンパーのバリエーションなど、対応アクセサリーも多い。

ポルタフィルターは金属の塊のようにずっしり重い

余談だが、1つの家電製品としては20年以上のロングセラーということもあり、これまでに何度かモデルチェンジが行われている。

  • V1 初代のモデル
  • V2 ドリップトレイの形状変更(現在の形に)。またOPV(抽出圧力の調整バルブ)が調整可能に。
  • V3 スチームワンド、ノブの変更(現在の形に)。ポルタフィルタが現在のエルゴノミックデザインに。
  • V4 ヒーターがボイラー直付ではなくパーツとして交換可能に。またその材質が銅からステンレスへ。
  • V5 電源ランプの変更。またボイラーに断熱材が巻かれた。

他にもボイラーの形など、細かい所は変わっていると思うが、大きい違いはおそらくこれくらいだ。

使用して感じたこと
2016年頃のコーヒー設備

僕が購入したのは、2016年の4月ごろ。その前はデロンギのEC152Jという機種を使っていて、個人的には2台目のエスプレッソマシンとなっている。使っていくうちに良い点も悪い点も分かってきたので、EC152との比較も交えながら、所感を書いてみたいと思う。

良いと感じたこと

  • ステンレスのボディでかっこいい
  • ポルタフィルタが業務用と同じものなので、所有感が高い
  • デロンギ等のクラスの家庭用と比べるとボイラーが大きく温度が安定することと、スチーム時のパワーが強い
  • 三方向バルブがついているので、すぐポルタフィルタを外す事ができる
  • 修理、改造しやすい。

悪いと感じたこと

  • ボイラーが300mlあるため、EC152Jと比べるとヒートアップ時間が長い、またスチームの切り替えも時間がかかる
  • ドリップトレイが小さい
  • バイブレーションポンプの音が筐体に響くため大きく聞こえる

これまでも記述しているように、やはりメリットは、業務用を用いてパーツで作られているという点。特にポルタフィルタに関しては業務用と同じものであるため非常に重く、デロンギのものがおもちゃに見えるほど。ボイラーもデロンギより大きいので、スチームの持続性・パワーは強いが、その分加熱に時間がかかるため、使い勝手としては気軽に飲めるデロンギの方が良いと感じた。

Silviaは100Vの日本でそのまま使えるマシンであるが、電圧が110-120Vといったアメリカなどでの使用が想定されているため、個人的には昇圧して使用したほうがおすすめ。起動にかかる時間もかなり短くなる。

また構造も簡単で、パーツも揃いやすいので自分で修理しやすそうなマシンだなとも思う。修理の簡単さは、海外からの個人輸入が多いこの機種ではアフターサポートが受けにくいので、この点は重要といえる。修理パーツも部品単位で購入できるので、そういった方面からの心配が不要なこともありがたい。改造も盛んで、より高度な温度制御を実装するためのPIDキットが販売されてたりもする(僕も一時期はArduinoで組んで自力で導入していた)。

肝心のエスプレッソの味については、正直なところ、デロンギのEC152Cとそこまで変わらないと思う。やはり温度制御が同じバイメタルサーモスタット、ポンプも同じULKA製のバイブレーションポンプと考えると、ボイラーが大きいといっても業務用と比べると小さく、構造的にも三方向バルブの有無くらいであるため大きな違いは生まれにくいのではと思う。

しかし、ボイラーが大きい点はスチームにおいて持続力やパワーが強くなること。そして業務用のポルタフィルタを使える喜びや、ステンレスボディの見た目は所有欲を満たし、満足のいく買い物をしたと今でも思っている。上位マシンを購入するとさらに上のセミコマ(半業務用)が気になるのではあるが、家庭用モデルからのステップアップとしては強く推したいモデルだ。